1980年代後半から90年代にかけて、日本ではOVAという形態の作品がたくさん作られた、んですよね?
Youtubeで「OVA」と検索すると、日本のアニメ作品、アニメ映画が出てきます。
ビデオ文化、レンタルビデオが普及したことで、こういったOVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)が流行ったんですよね。
OVAの特徴は、劇場公開も、テレビ放送も前提にしていないことで、そのつまり、表現の規制を気にしていないということですね。
なので、人体破壊、エロ、グロに関してはかなり徹底的にやってくれている作品が多い。
さらに、OVAを観る人=わざわざビデオを買う人なので、その購入層の趣向に合わせたコアなジャンルを扱うことができる。
で、この作品は劇場映画なのかもしれないが、非常に面白く、かなり考察の余地を残したアニメだった。
まず、ストーリーの基台は、溝口の『雨月物語』ですね。
立身出世を目論む若者が妻を置いて、出て行き、手柄を挙げて酒におぼれる感じ、さらに過ちに気づき家に帰ると妻に出迎えてもらい、やっぱり幽霊でした、という流れはモロ。
あとは、かなり豊かな比喩表現、抽象表現が出てきますね。
売春宿に男が入っていき、扉が閉まると、外の蒸気の配管からブシューっと湯気が立つのはあきらかに射精の比喩ww
これはかつてのヒッチコックの『北北西に進路をとれ!』のラストに似てますね。トンネルに列車が突っ込んでいくセクスの比喩と同じ。
あと、敵国同士になってしまった妃と王子が死んだあと、崩落した橋が映るのは、「もう戻れない」とか「もう通じ合っていない」という比喩。
あと、「幽霊船」とか「赤い鳥」というものが出てくるけど、それについて詳しい説明はなし。
この世界では死んだ人の魂は赤い鳥になり飛び去って行く。
そして、その鳥=魂を集めているのが幽霊船。
つまり、この世界では輪廻転生はないんですね。
その幽霊船の船長には、生身の人間がなるらしい。そして10年間の勤めとなるらしい。
この辺のミステリアスな設定が魅力的ですわな。