私が高専出身ということを告白したので、もう堂々と高専時代の話をしていこう。

高専というのは、中学卒業して入る、いわば高校の別形態である。

高校は3年制だが、高専は5年制、さらに専攻科に進めばさらに2年。

 

私は5年で卒業し、その後編入という形でとある一流旧帝国大学に進学したわけである。

普通は大学に編入する際は大学3年に編入する。

しかし、かの東大だけは2年に編入となるのだ。つまり、高専で過ごした2年間など、東大の1年のみに相当するという厳しい評価なのだ。

 

で、大学に編入するばかりが高専ではなく、反対に、高校を卒業した奴らが高専に編入してくることがある。

私はそんな進学先があるなんて知りもしなかった。

つまり、高校3年の次に、大学に行くのではなく、高専に編入するのだ。高専4年への編入だ。

まあ、感覚的には大学に行くわけではなく、専門学校的なノリなのだと思う。

正直、高専は他の高校よりかは偏差値は高い。

私の高専は偏差値63くらいだったと思う。

それに就職も100%できる。

 

で、われらのクラスにも4年になったときに3人の編入生がいた。男2人と女1人だ。

彼らは各高校の主席クラスの成績らしい。らしい、というのもほとんど会話をしたことがない。

つーより、彼らはかなーり可哀そうな奴らだった。

 

だって4年生なので、すでに人間関係の構築は終わっているのだ。

カーストの順位付けも済んでいるし、交友関係もガッチリと固まっている。

今更新しい仲間も迎え入れる気力もないのだ。

なので、その編入生3名は徹底的にハブられ、無視されていた。

休み時間に誰も話しかけないし、遊びにも誘わなかった。

もちろん、私も話しかけなかった側の人間だけども、見ていて惨めだった。

 

一人で昼飯を食い、あとは机に突っ伏して寝たふりをしている連中を見て、高専なんかに来なきゃいいのに、と思った。

と言っても彼らに問題がないわけではなく物静かで生真面目な連中ばかり、今風にいえばド陰キャだ。

私のクラスは化学専攻なので、卒業研究のために研究室に所属するのだが、編入生の一人は、かなり異例の対応で、別の学科の教授の研究室に配属になった。

これはおそらく史上初。たぶん、彼はわれらクラスの皆を憎んでたと思う。だって誰も相手してくれないんだもん。

それともう一人の男は徹底的にダメな奴でコミュニケーション能力がゼロなのだった。

おそらく頭は良いのだろう。ちなみに私は会話したことない。まったく、ない。

で、彼は就職を希望していたが、ことごとく面接に落第し続けた。

 

これは高専出身者なら分かると思うけど、高専で就職を希望すれば、絶対に就職できる。

これは「絶対」である。というのも、地元企業との結びつきが強く、各企業から学校に対してオファー枠があり、それを生徒で分け合うからだ。

で、あくまで形式的な入社試験はあるものの、それはそいつの能力を見る、というよりも、「はい、ちゃんと試験会場に来てくれましたね」というくらいのものである。

というのも、そこで学生を落選させると、学校との関係が悪化し、逆に優秀な人材を供給してくれなくなるからだ。

なので多少ダメな奴と分かっても、企業は採用するのである。

 

にもかかわらず、その編入生は、もう名前も忘れてしまったけど、そいつはまず1回目の入社試験に落ちた。これだけで大ニュースになった。これはもうありえないことが起きたと同じだ。

で、そいつは引き続き就職活動を続け、別の入社試験を受けるもののまた落ちた。次も落ちた。その次も落ちた。

 

正確に何社の試験に落ちたかは知らないが、公式に学校にオファーがあった企業の面接はすべて落ちたらしい。

で、彼の何がいけないか、というと、筆記試験はおいといて、面接のときに一言も話せないらしい。

これもまた聞きだが、名前を聞かれても緊張して答えられず、下を見てるだけらしい。

なんだそれwwwwwwwwwwwwwwwww

お前試験ウケに来てんだろ!

なので、さすがに、高専といえども、自分の名前も言えないような奴は入社させるわけにはいかない、つーか、コミュ力ゼロのほぼ動物である。

で、普通、高専生の就職活動といえば5年生の6月くらいには終わっている。早い人なら4月。

で、そいつは遅れに遅れて11月になっても就職先が決まらなかった。今更進学に換えることは遅いし、そんな奴が大学いったら絶対に自殺するのでもう八方ふさがりである。

 

これも記憶が定かじゃないが、たしか、高専の教授がどこか知りあいに頼み込んで、無理やり就職させた、みたいなことだったと思う。

 

あんな奴死ねばいいのに。