相変わらず、トンデもなく面白いが、怖い映画である。

 

ただ、夫婦関係の崩壊が明らかになると、私にはどうしても理解できない場面が出てきた。

夫が自分の不貞を素直に告白し、「だから、俺、お前と離れてロンドン行くわ」というシーン。

これ、完全に夫がだらしないだけの話ですが、妻はそんな夫をまったく責めもせず、「私が悪かったから、思い直して」と懇願するんですよね。さらに、「どんな人なのか教えて」と夫の愛人の詳細を質問するんですよ。

なんか、これって、浮世離れというか、日本ではありえなくないですかね。

私自身、女とこんな話をしたことないですが、フツー、女がブチ切れますよね。浮気してんじゃねー!って。

ですが、全然そうならないんですよね。

さらに、夫は夫で新しい恋人を自慢したいのか、我が嫁に愛人の写真を見せながら「こいつぁ胸がデカい」とか「不憫な女なんだよ」と説明するんですよ。なんかね、信じられないですよね。

 

でもね、これって、一歩下がってみると、お互いに傷つけあってるんですよね。

嫁は、怒りをぶつけずに、むしろ親身に話を聞くことで、夫にとんでもない恐怖を与えてますよね。だって夫は普通、嫁が怒ってつかみかかられるくらいの心の準備はあったと思うんです。それが、告白しても、怒るどころか、向こうが謝って来るんですからね。

一方の夫は、まさに愛人を自慢することで、直接的に嫁にダメージを与えようとしてますよね。まったく悪びれてませんからね。

 

でさらに理解不能なのが、夫がロンドンに旅立つという朝に、嫁が率先して荷造りしてるんですよね。

でも、夫が出て行こうとするときは泣いて縋って「お願い、行かないで」とか言うんです。

 

まあこれも先述の高度な嫌がらせなのかもしれない。

 

というより、この二人のやり取りを観てると、男女の差というものを考えないわけにはいかな。

やはり、男にとって、家族とか家庭は窮屈極まりないんですよね。結婚したら一生こいつとしかセクスできねーとか、それ飽きるから。そりゃ、嫌になるよ。

で、女というと、やっぱり家族という「形」を大事にするんですよね。正直に、女の人って同じ男とヤってて飽きないんですかね?男は、その女に飽きると、如実に勃起しなくなりますからね。女は、男に飽きててもマンコは濡れるんですかね。マンコさえ濡れたらオマンコできますからね。仮に女が全然燃えてなくてもね。

 

 

 

で、4話になると、別居して半年経って、夫が一時的に戻って来るんです。

これもどうなんですかね。私だったら、どういう顔で戻って来るんだ、と委縮しちゃいますけども。

で、二人は再会するといきなりセクスしようとしてるんですよね。

これもなあ。でも、結局、しないんですが、そのすぐあとに「正式に離婚しましょう」とか言うんです。

つまり、復縁する気のない男女でセクスしようとするってことで、私は謎が解けました。

 

これって、ベルイマン流の『浮雲』なんだ、と。

成瀬巳喜男の『浮雲』。つまり、どれだけ仲違いして、ケンカしても離れられない男女。なぜなら、体の相性が良いから。

つまり、この『ある結婚の風景』も体の相性がいいのでなかなか離れられない、っつー話なんですよね。

そこを理解すると、これまでの話はかなりスッキリ。