これはトンデモない傑作日本映画ですよね。
田宮二郎が演じた銀四郎は、日本映画に燦然と輝く悪役でしょう。
京マチ子、若尾文子と来たらほとんど溝口の『赤線地帯』ですが、違うのは、京マチ子の演ずる役柄。
基本的に京マチ子といったら、色っぽくて男を惑わす悪女役が多いですが、この映画においては、ほぼ唯一といえる正直な女です。取り巻きに身ぐるみはがされて、最終的には自殺にて死亡。
若尾文子は京マチ子を利用してのし上がろうとする急先鋒ですが、最後には自分の過ちに気づく。
田宮二郎は最初から最後まで小賢しく、暴力を用いない大藪春彦作品の主人公のようである。
女をすぐに手籠めにし、自分のために利用する。
そんで田宮二郎の演技がうめえうめえ。邦画史上でベストくらいにうまいと思う。
若尾文子は美人ですねー。基本的には悪女だけど、悪女になりきれない感じがそそります。