富士フィルム、 自動でPCR検査するキットを発売 ―検査時間75分、熟練の技師も不要― | ボルタのブログ

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本文は5月8日の富士フィルムのプレスリリースの要約及びそれに関するコメントです

要旨

富士フイルムホールディングスは新型コロナウイルスの感染の有無について、検体を装置にセットするだけで、全自動で調べられるPCR検査用の試薬を開発した(Fig.1)。検査時間も従来の4~6時間から約75分に短縮できるという。月内に国内向けに発売する。また、時間のみでなく、精度も高く、「臨床検体を用いた評価結果が取得された 2019-nCoV 遺伝子検査方法について」(2020 年 5 月 1 日版)において、陽性一致率 100%、陰性一致率 100%として結果が公表され、保険適用の対象になるという。

Fig.1 富士フィルムが販売する新型コロナウイルス(武漢肺炎)用自動検査キット

 

PCR検査は大半が手作業だが、熟練した検査員が足りていないとされる。自動化が進めば、不足が指摘される検査件数の拡大につながる可能性がある。

自動検査装置(Fig.2)は既に数十施設の大病院に導入され、結核の検査などで用いられているという。その装置に今回富士フィルムが開発した試薬を使えば、一度に4人分の武漢肺炎(新型コロナウイルス)に関するPCR検査ができるという

Fig.2 全自動遺伝子解析装置 ミュータスワコー g1

(核酸の抽出,精製,増幅および検出を全自動で行う装置)

 

PCR検査は、対象者から、検体(鼻やのどの粘膜)を採取し。試薬で遺伝子を増やして判定する。今回富士フィルムが開発した試薬は装置にキットと検体をセットするだけで自動的に遺伝子を検出・測定するという(Fig.3)。

Fig.3 検査フロー

 

コメント

・PCR検査キットでは、島津製作所やキャノンメディカルが約1時間で検査可能なキットを発売してきた。しかし、それは熟練の技術が必要であった。今回富士フィルムが開発したキットは国内では初の自国製自動検査キットであり、熟練の技術も不要となる。

・これまでは、スイスの製薬大手ロシュの自動検査キットが使われており、検出まで3時間要していた。しかし、富士フィルム製検査キットではその半分以下の1時間15分ですむという。

・この装置は既に大病院で用いられており、検査する側も実績がある。このため、検査するためのノウハウもあり、すぐに運用できるのではないだろうか。