今日も終わり、日付は変わっている。

だから厳密には昨日が終わり、今日が始まっている。寝る時間がおかしいので、こんな事になる。


昨日は、泣かずに済んだ…

お父ちゃんがこの世界から居なくなって、ほぼ1日に1回は涙してしまっているから、とても複雑な気持ち。


泣かずに済んだのは、猫のロディのおかげ。

今日は1歩も外へ出ない日と決めていた為、家で過ごしていた。大抵、そんな時にふと辛い事がよぎりどーんと重い気持ちになる。例えば、ニュースで地震の被害にあった人達。とてつもなく辛く、悲惨だろうと家族が見つからない人のインタビューなんて、聞くに耐えがたい。そんな時、気持ちが同化して泣けてくる。


そんな私をわかってる?のか、今日はソファーで横になる私にしがみついて寝ているロディ。猫の独特のゴロゴロ音で、どうしても癒されてしまう。猫のゴロゴロ音は、脳血流も良くする作用があり、セロトニンも放出させてくれる。セロトニンは一般的に幸せホルモンと言われる物質。


だから悲しい気持ちになれなかった…

そして、今、ベッドに先回りでロディは私を待ち受けていて、又例のゴロゴロ音で出迎えてくれた。まるで、小さな子供の様と一緒に寝る感覚。

ロディは野良猫だった、その彼を私の家族にして半年。先住猫は女子3匹。計4匹の猫がいる。


近所でボスの野良猫番長が、こうやって私の心を癒す日が来るなんて、想像は出来なかった。自分と違う種の生き物に助けられている…と今日は本気で実感した。「命」ってあったかい…


そんな今日だから、あの話しを書けそう。そんな気がした。目を背けたくなる内容だから。




そう、私があの病室に向かっていくと、えっ?これは病室じゃなくて、だだっ広い大きな空間で思わず息を飲んだ。自分のいる階より1つ上。こんな階段上った事ない。そこを見るまでの、数秒前は「VIPな患者様のお部屋」に着くとばかり思っていたから。


その広い空間に、ぽつんと1つのベットが。

近づくと、かなり太った60代くらいの女性が寝ていた。ネームタグには名前はあったけど、全くの初めての患者さんで、何故こんな所にいるのか、訳がわからず困惑してしまった。


新人という事もあり、再度確認しに病棟に戻り、ダブルチェックしたナースに、あの患者さんで間違いないか?と尋ねた。彼女はうんとゆっくり頷いて、私の顔を見たが、何か意味ありげな感じでそれも鮮明に覚えている。


そして又、上の階に上がり指示通りに利尿剤5アンプルを側管から、ゆっくりと注入した。繋がっている大元の点滴は、ただの水分で非常にゆっくり落としてあった。


数々の疑問を抱えて、作業を終えた…

私はその後に待ち受けている事なんて、全く想像すらしてなかった…


でもそれは、その日から数日で全容が見えて、自分との葛藤の日々はそこから始まったばかりだった…