こんにちは。
ハイ・パイン・サンキュー!です。
いつもとなりのかがわさんをお読みくださり、ありがとうございます。

 

雨は降っていませんが、蒸し暑い日が続いています。

こんなに湿度が高かったか、と思うような7月の曇り空です。

 

さて、今回は徳島のたらいうどんを食べに行ったお話です。

僕はこのブログを書き始めた時に、出来る限りうどんの情報は少なめに、それ以外のかがわのことを書いてみたい、という気持ちでいまして、それは今でもそんなに変わりません。(時々は書くけれど、他の方がたくさん書かれていますので)

 

しかし、今回の「たらいうどん」については、ずっと以前から、そう、数年前からずっと書きたいと思っていました。

もちろん、かがわで食べる「讃岐うどん」は、どのお店で食べても美味しいし、僕も好きなのですが、県外から来た僕にとっては、いつまでも「大人になってから食べた味」です。

今回のたらいうどんは、僕が子どもの頃、30年以上も前に一度食べたことがあって、それでずっと行ってみたい、と思っていました。

特にたらいうどんにも、土成町についても詳しいわけでもありませんが、もしかがわから山を越えて、徳島県阿波市土成町に「たらいうどん」を食べに行ったことなんかに、ご興味がおありでしたら、どうぞお読みください。

 

たらいうどんの思い出

もしかしたら、僕はこのことが書きたくて、この記事を書いているのではないか、と思うほどですので、しばしお付き合いください。
 
まだ、昭和の時代(意外と急速にこの表現が古臭く感じるようになりましたね、明治の頃と似たような)、瀬戸大橋が出来ていない頃、僕は一度だけ徳島に旅行に連れて来てもらったことがあります。
阿波踊りの季節だから、おそらく夏休みで、ブルートレインと宇高連絡船を使ってきたような気がします。
明け方、まだ朝早い時間に、岡山で乗り換え宇野へ。
宇野からフェリーに乗って、高松へ着いた時「なんて遠いところにあるのだろう、もうこれは永遠に目的地徳島には着かないのではないか」と感じるほど。
それでも、何とか宿泊先の親戚の家にたどり着いて、阿波踊りを観たり、藍染めの博物館を見学したりと、楽しかった思い出があります。
 
その中で、夕食にたらいうどんを食べ行こう、と親戚のおじさんが連れて行ってくれたのが、今回のたらいうどんです。
四国の夏だから、7時を過ぎても辺りはまだほのかに明るくて、虫の声が聞こえてくるような山の中を、車で40分くらいは走ったと思います。
当時、僕の印象では、車でご飯を食べに行く為に移動するなんて、10分とか15分のことだったから、随分遠いけれど、こんな山の中に一体何があるんだろうと、とても不思議に思っていました。
 
ふと、思ったのですが、子どもの頃のその40分と、大人になってからの車で40分って、何となく違いますよね、感覚というか、ずっとこのまま山の奥を走るんじゃないか、という雰囲気でした。(はじめて高知道を走った時もそんな感じ)
 
それでも、もうすぐ、と教えてくれた場所には、薄明りの下、明るいランプに照らされた「たらいうどん」の看板がありました。
ついたで、と車を降りると、何となく川の音が聞こえていて、その川のそばまで、階段と坂を下りて行った記憶があります。
大広間のような場所があって、通路にそって座卓のようなテーブルが並んでいます。
そして、たらいうどんです。
大きなたらい(おそらく木の「たらい」を見たのは、これがはじめて)に、うどんがあふれるほど入っていました。
最初は、お風呂に入る時に使う「たらい」にうどんを入れるなんて、面白いな、という程度だったのですが、一口食べると、これまで食べたことのない、うどんの歯ごたえと、つけツユの味に、「美味しい、美味しい!」とたくさん食べた気がします。
 
その後、たらいうどんを食べたのは、僕が今回訪れるまで、その一回だけ。
とても美しい阿波踊りの景色とともに、「たらいうどん=こしの強い美味しいうどん」という記憶が残っていました。
 
さて、その後大人になってから、気にはかけていたものの、なかなか訪れるチャンスがなく、現在に至ります。
かがわから行くと、隣の徳島県にあって、場所が結構近いのは知っていたのですが、驚いたことに、かがわの方は「たらいうどん」の存在すら知らないという方も…。
知っていても、ああ徳島の…、というだけで、僕が当時感動した味は幻だったのでは、なんて思うほど。
 
事実、奥さん(生粋のかがわさん)に、たらいうどん食べに行こうよ、というと、屋島の、わらやで?なんていう始末で、僕の意図する「たらいうどん」とは異なる「たらいうどん」をイメージしてしまうようです。
 
確かに、かがわでも大きなたらいに釜揚げうどんが入ったお店もあるけれど、僕が行きたいのは、徳島のたらいうどんです。
これを伝えると、明らかに眉をひそめて「えー、なんで(そんなところまで行ってうどんを)食べに行かないかんの」という感じ。
まあね、わかりますよ。それは、理解できます。
これでもか、というほどに近くにうどん屋さんがあって、これを食べれば間違いない、といううどんがあるというのに、何故うどんを食べに徳島まで出かけなければいけないのか、と思うその気持ち。
徳島の方が徳島ラーメンを食べにわざわざかがわに来ないだろうし、高知から鰹のたたきを食べにかがわに来る、なんてこともないだろうと思います。
 
こんな感じで、ずっと「いかにたらいうどんを食べに行くのが難しいか」を書いていても、僕はよいのですが、先に進みます。
結局、運動会の振替休日に、あすたむらんどへ行く途中、たらいうどんに立ち寄る、ということで落ち着きました。
 
それでは、いよいよ場所です。
 
 
たらいうどんは、徳島県の北部で、かがわに隣接する阿波市土成町(どなりちょう)にありました。
徳島の地域の呼び名は詳しく知らないのですが、「東讃」みたいな呼び方があるのでしょうかね。
 
高松から行くと、約50分です。今回は、4車線になった高松道を行きたかったので、途中まで高速を使いましたが、使わなくてもそんなに時間は変わらないと思います。
 
 
まあ、時間が経過すると当たり前ということになるのですが、高松から鳴門、淡路島方面の高松道が4車線になったというニュースは、結構かがわでも大きな記事になっていました。
 
 
 
いつもではないけれど、車間が短くなって、車列ができるというか、ずらっと並んでしまうことがありました。
大型車なんかが走っていると、仕方がないよな、と思っていましたが、やはり走りやすくなった印象です。
そして、きっとここを通過する方にとっては、10分~20分早く目的地へ着けるのだろうと思います。
 
たらいうどんへは、白鳥大内インターで降りて、国道318号線を南に向かいます。
 
 
少し長めのトンネル「鵜の田尾トンネル」に入ると、かがわと徳島の県境があります。
トンネルを抜けると、ぽつりぽつりと「たらいうどん」の看板が出てきます。
 
 
平面の地図で見ると、道沿いという感じなのですが、実際には山の中です。
 
 
ちょうど「谷」という感じの場所です。この日、車の前には、ひらひらと蝶のような虫がたくさん飛んでいました。
 
 
そして、道沿いにあるのならば、さっと入れるのでは、と思ってしまいますが、国道から入るには、どの店入るかをあらかじめ決めておかねばなりません。
看板がある、と思っても、閉店していたり、行ったけれど開いてなかったりするお店もあるので、事前に調べてから行くことをお勧めします。
僕は場所だけ調べて、行ってみてから決めようと思っていましたが、2か所も閉店しているお店に間違えて入りかけてしまいました。

一天たらいうどん

 
 
国道318号は、徳島へ抜ける道になっているで、どんどんと車が来まして、ゆっくりお店を見ながら走る余裕はありません
そして、こういう感じで、駐車場へは下へ行くような道になっているので、もしたらいうどんを食べるのならば、どこかのお店に入って行かなければなりません。
 
 
本当に一番かがわがわ寄りにあった「一天たらいうどん」さん。
二か所の入り口があるのですが、僕はこちらの急な方からは入れませんでした。
 
 
 
他のところもそうかもしれませんが、坂を下りたところに駐車場があります。
この日は平日のお昼すぎでしたが、数台の車が停まっていました。
 
この駐車場から、お店へはもう少し下って下りて行きます。
 
 
 
そうそう、たらいうどんのお店はこんな感じで、川のそばに下りて行きます。
もう少し階段があったような気がしたのですが、
 
 
ありました、階段。
お店が開いているかどうかも心配でしたが、営業中でした。
 
 
中に入ると、想像よりも若い男の方が受付にいて、何にしましょう?と聞かれます。
メニューはいろいろあるのですが、僕らは今回「たらいうどん」を食べに来たので、たらいうどんを三人前注文します。
1500円から1600円くらい払ったので、一人500円ちょっとという値段でした。
「何とかの間でお待ちください」とカードのようなものを渡されたので、靴を脱いで「何とかの間」(名前は忘れました)へ。
 
 
僕は写真を撮っていなかったのですが、子どもが何枚か撮っていました。
奥さんと子どもが先に入って、まごまごしているので「どうしたの?」と尋ねると、どこに座ってもいいんかな、なんてまごついています。
確かに、はじめて来たらそういう仕組みはわからないですよね。
こんな時には、僕は聞きます。
「どこに座ってもいいですか?」
「どこでも、空いてるところに座ってください」
と奥の厨房から聞こえてきました。
 
 
僕はこんな風に写真を撮ったりしないけれど、子どもなりにテーブルの雰囲気を撮ったんだろうと思います。
帰って見たら、写真がないより、わかりやすかったので載せておきますね。
 
 
足が痛くなりそうな方用に、座布団の横に椅子もいくつかありました。
 
 
店内には、少しもやっとした空気が漂っていて、昭和のお店という感じです。
和歌山の那智の滝の前の食堂、最近では足摺岬の食堂もこんな雰囲気でした。
 
しかし、もやっている理由は、よくよく見ると、鳥を卓上ガスコンロで焼いていました。
2、3組の方がいたのですが、僕ら以外の全員が卓上コンロで焼き鳥を食べていました。
もしかしたら、このお店はたらいうどんではなくて焼き鳥のお店だったか、と思うほど。
 
 
ほどなくお店の方(おそらくお母さん)が来て、窓を開けて行きました。
確かに煙たかったから、開けてくれてよかったのですが、奥さんと子どもは蝶がたくさん外を舞っていたから、それが中に入って来ないか、というのが心配な様子でした。(結局大丈夫だった)
川のせせらぎや、鳥の声、そして新鮮な空気が入ってきます。
 
冷たいうどんを頼んだのですが、最初にスダチと出汁を運んできてくれました。
 
 
徳島の名産品、スダチ。かがわでも冷たいうどんにはスダチがついていることがあります。
レモンとか、少し酸味があるものがあうのでしょうね。
 
そして出汁ですが、少し特徴があるみたいで、昔は川魚から出汁をとっていたのだそうです。

たらいうどん

たらいうどんは徳島県阿波市の郷土料理。
かつて林業が盛んだった宮川内谷川流域。名物・たらいうどんは、山仕事をする人たちの仕事納めのふるまい料理がルーツと言われています。
大釜(がま)でゆでたうどんを大きなたらい(はんぼ)にゆで汁ごと移し、そのたらいを大勢の数人で囲み、
たらいで湯だめにしたコシの強い手打ち麺は、吉野川の渓流で春にとれる川魚・ジンゾクのダシのつけ汁に付けて食べる。
いわゆる釜あげうどんの野趣に富む豪華版である。
 
なるほど、そういう理由があるのですね。今回のお店がどうしているかはわかりませんが、確かに普段かがわで食べているのとは、違う感じがします。
 
 
続いて、お待たせしました、と出てきたのが、こちらのたらいうどんです。
 
 
他にお客さんもいたので、大きな声は出せませんが、僕は心の中で「うわー、これだ、これ!これ!」と叫んでいました。
3人前だから、そんなに大きなたらいではないけれど、直径40cmほどのたらいいっぱいに、うどんが入っています。
それにしても「たらいうどん」って良いネーミングだな、と思っていると、こんな説明がありました。
「たらいうどん」の名づけ親は、昭和のはじめ頃の徳島県知事といわれています。
当時の県知事が阿波市(旧 土成(どなり)町)に訪れた際にうどんを食べ、後日「たらいの様な器に入ったうどんを食べてうまかった」と話したことがきっかけのようです。
なるほど、昔の知事さんがそう呼んだのですね。
いつまでも見ていても仕方がないので、食べてみます。
 
出汁が薄まらないように、たらいの縁にうどんをこすりつけながら、ずるずると出汁につけるのだそうです。
おお、麺がかたい、そして美味い!
何というか、讃岐うどんとはまた違ったうどんで、これはこれで美味しいうどんです。
口の中で小麦の香りがぐっと強くなるのと、塩気は少し控えめな気がします。
いやあ、僕が子どもの頃に食べた、たらいうどんの記憶と、ほとんど変わらない美味しいうどんでした。
 
 
窓の外を見ると、ダムのようなところから水が落ちているので、滝と言えば、滝と言えるのかもしれません。
 
 
地層の名前なんかには詳しくないので、よくわかりませんが、なかなか綺麗な地層が見えていました。

いやあ、一度は行きたいと思っていたたらいうどんですが、行って食べられて本当によかったです。
奥さんも、小麦の味がしてなかなか美味しかった、と言っていました。
 
今日7/2半夏生は、かがわでは香川県生麺事業協同組合が定めた「うどんの日」なのですが、よくよく見ていたら、「たらいうどんの日」は別にあって、11/7だそうです。
そんなに離れていないけれど、やはりそれぞれは別の味のするうどんで、その地域の特性にあった料理なのだな、と思いました。
 
夏にはまた阿波踊りがあって、大勢の方が徳島へ行かれると思いますので、またたらいうどんを思い出したら、立ち寄ってみてください。
美味しかったたらいうどん。
奥さんは焼き鳥が美味しそうだったと言っているので、また僕も食べに行ってみたいと思います。
 
それでは、今日はこの辺で。
 
いつもお読みいただき、ありがとうございます。