久しぶりのスポーツドクター代表者協議会にて | いきょくのまねーじゃーのブログ

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市立砺波総合病院の整形外科医です

「久しぶりのスポーツドクター代表者協議会にて」

 

 「現地参加します」と迷わず返答した。毎年行われている「日本スポーツ協会加盟団体スポーツドクター協議会」に富山県スポーツ協会から推薦をいただき参加させていただく機会を得た。


 以前、この会議は事務連絡のような内容が多く、こんな内容ならyoutubeで動画を流していただければいいのではとアンケートに書いたことがある。しかし、実際にリモートで行われると、さらにつまらないことを知ることになった。今回多くの人が集まるかと思ったが参加者は全体の4分の1ほどだった。理由は、惰性の法則である。一旦リモートになると戻るにはパワーがいる。

 

 意外にも、福井の代表であり、大学の大先輩でもあるH先生は、リモート参加であった。スポーツドクターの資格のための講習になるため、カメラがオンになっている。綺麗で素敵なお部屋がモニターに映った。もしも私がリモートで参加したなら、散らかっている(先日の地震のせいにしておく)医局の本棚が映り込むことになるところだった。そんなことはおいておく。

 

 今年の内容はとても刺激的だった。まずは「スポーツドクターの業務委託契約について」。私もいろんなスポーツ現場の救護に行く。東京2020の時は、組織委員会との契約書にサインした記憶がある。(ちなみに交通費と宿泊費の支給はあり、「業務に対しては無償とする」と書いてあったと記憶している。)しかし、そのほかのスポーツ現場での業務委託契約については、書面にサインしたことはない。もちろん、謝金がいただけることもあれば、無償のことも少なくない。今回の会議では、いずれの場合も契約書があったほうが望ましいとのことである。

 

 幸い今までにスポーツ現場での私の対応でトラブルになったことはない。だからと言って今後もないとは限らない。賠償問題になる可能性があるため、医師賠償保険の内容を確認することも勧められていた。


 今までこんなこと考えたこともなかった。単純にスポーツ選手の応援の延長で、私が持ち合わせる医学的知識を提供したまでである。選手は、私の判断に対して不満があったかどうかは確認するすべもないが。

 

 参加されていたある先生が、「業務契約書があると労働時間になる。今までボランティアで来てくれていた人が働き方改革の時間外労働の制限のため来てくれなくなる」というコメントがあった。東京の公立病院は特に厳しいとのこと。幸い富山は、現状そんな問題はないような気がする。いずれにしても、スポーツ現場での救護活動にも契約書、なんとも寂しい気がする。でもそういう時代になったということだろう。

 

 「スポーツ現場の救護所では、診療所登録をしなければ、医行為ができない」このことは、今まで何度も議論になった。「血圧計で血圧を測るのは、医行為であり、自動血圧計で血圧を測るのは、医行為ではない」「処方薬を出すのは医行為だが、OTC薬を選手に服用させることは医行為ではない」こんな、ルールもどこか滑稽に聞こえるが仕方ない。(わかりやすく言えば、処方薬の中には、同成分のOTC薬もある。)

 

 もうひとつは、「大規模スポーツ大会における医療体制」についての情報提供があった。東京マラソンと東京2020の陸上競技場における医療体制について説明があった。特に東京マラソンの救護体制についてはとても興味深かった。富山マラソンは、東京マラソンの1/3程度の規模だが、参考になることも多い。しかしながら、東京は規模が大きいこともあり、予算が桁違いに違うだろうと思われた。例えば、今年の大会(本日行われる)では、AEDが200台準備されているとのことだった。

 

 EAP(emargency action plan)を立てておく重要性が強調された。これは、緊急時の対応をあらかじめ決めておくということであり、これはスポーツ現場だけではないとの話もあった。例えば、先日、地震があったとき、当院の対応で、不十分だった部分を検証し、改善するといったPDCAサイクルを回すことが必要だと感じた。(今のところ、そんなことをすることもなさそうだが。未だにコロナにかまけているからかも)

 

 まだまだ、たくさんのことを感じることができた約5時間だった。会場は、国立競技場のすぐ近くだった。信濃町駅から、国立競技場の周りを歩くことができた。田舎者の私にとっては、競技はされていなくても、ワクワクするものである。それは、現地に行かないと感じられないこと。現地参加するには、体力が必要である。元気であることがありがたい。繰り返しになるがやっぱり現地参加はいいね。

 

 













 

 

 

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