オンデマンドは… | いきょくのまねーじゃーのブログ

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市立砺波総合病院の整形外科医です

オンデマンドは…

 

 「都合が悪かったら、いつでもきていいよ。」と患者さんにいうことがある。いつでもいいというのは「オンデマンド」ということだろう。しかし、実際は、「いつでも」きてもらっては困るので、嘘をついていることになる。嘘をつくつもりは全くないから、ご容赦いただきたい。安心感を与えたいだけというのが言い訳である。

 

 大学病院にいたとき、教授のアポをとるとき、多くの場合決まって教授は、「いつでもいいよ」と言ってくれた。これも今から思えば「オンデマンド」だと感じる。しかし、「では、この時間で」とお願いすると、「そこはちょっと…」となった。アポをとって実際にその時間が来たとき、多忙である教授は、会ってもらえなかったこともあった。「いつでもいいよ」はいつでも良くないのである。しかし、私は教授ほどは忙しくない。

 

 先日ブログにも書いたが、昨年末参加した学会が、ハイブリッド開催であった。発表の一部は、期間限定だがオンデマンドで聴講することが可能である。気になる演題もあった。そのうち見ればいいと思っているが、なかなか見ることなく終了時間が近づいている。目の前に他にやらなければいけない仕事や、やりたいことが次々出てくるのである。つい目についたものに手を出し、時間が過ぎている。「いつでも見られるから」という「オンデマンド」の罠の仕業と思いたい。やっぱり学会は、現地で参加して専念することで目的を達成できるように感じている。

 

 冒頭の話に戻る。「いつでも来ていいよ」と伝える患者さんの多くは、急に悪くならない自信がある患者さんである。言い換えれば、急に病院へ駆けつける必要性が低い患者さんである。ただ、ヤブ医者だから仕方ないが、「本当に大丈夫なの?」と顔に書いてある患者さんでもある。そんな時に「オンデマンド」を提供するである。患者さんは、「いつでも行けるから、大丈夫だ。」と思うとなかなか時間外に病院へ行かないんじゃないかな、私の学会のオンデマンドと同じように。