日本の不思議 | トナカイの独り言

トナカイの独り言

独り言です。トナカイの…。

 日本にはいくつも不思議なことがある。

 国家的レベルで個人的に不思議だと思うことに、以下がある。

 

 まず、軽自動車の黄色いナンバープレートと黒い文字。

 なぜ、これほどダサイ色を選んだのだろう。
 やはりセンスを疑ってしまう。

 軽自動車はわたしの家内も含めて、多くの女性が使うものだ。
 若い女性にも利用者が多い。
 もっともおしゃれであろうとする方々が日々使うもの。だからこそ、もう少しマシな色を使えなかったのだろうか。ありきたりな薄いグレーの色ですら、今より数段マシだとわたしでもわかる。

 

 次はローマ字表記の 「らりるれろ」 に R を使うことだ。
 カルフォルニアやブリティッシュ・コロンビアで英語を身につけたわたしは、いつも 「 R はないだろう」 と感じてしまう。なぜ L 表記にしなかったのだろうか。日本人の発音の悪い原因の一つは、ここにあるとすら思ってしまう。

 

 さて、ほんとうはここを書きたかったところに来た。

 

 

 それはスキー場における人々の滑り方である。

 日本ほど暴走スキーヤー(スノーボーダー)の多い国はない。断言してしまおう。

 以前リフト待ちのマナーについて書いたことがあるが、それとこれは大きく異なった問題である。

 年末年始や三連休といった混雑時、ほんとうに危ないと感じる場面に何度もなんども遭遇する。そして、これが問題なのだが、そんな危なさを演出しているスキーヤーやスノーボーダーにとても上級者が多いという事実である。

 なぜ、それほどスピードを出さねばならないのだろう。

 

 以前、酔った海外からのお客が暴走して危ないという話を、ブログに書いたことがある。
 そして、コントロールを失ったスキーヤーが危ないということも書いたことがある。

 しかしもっとも危ないのは、日本人の上級スキーヤーが初心者や初級者の間を縫って、かっ飛ばしていく場面に見られる。
 しかも、行く手を邪魔する初級者を怒鳴りつける場面すら見られる。

 なぜ怒ってまで、そして危険を冒してまで、それほどのスピードを出すのだろう。

 オリンピックを直前に控えた選手であるなら、多少は理解できるが、それとて許されることではないだろう。

 

 わたしも選手だった時代が長いし、現在も水泳では現役選手としてやっている。だからスキー場に着いたら、自分の望むトレーニングをしたい気持ちはよくわかる。しかし混雑時のスキー場で、80キロを超えるスピードで滑ることは決して練習になるとは思えない。

 これはレーサーたちのトレーニング現場にも見ることができる。

 レーサーたちはポールの張られた斜面まで、もしくはポールを滑り終えてリフトに行くまで、もの凄いスピードで滑っていく。

 かつて、海外でのアルペントレーニングシーンをよく見てきたこともあり、経験から 「あれでは練習にならないのでは」 と感じることも多い。

 

 少し自分の話になるが、わたしは毎シーズン、プルークのトレーニングからスキーシーズンを開始する。そして、そこがもっとも 「自分が上達できる時」 だとわかっている。

 シーズンに入り、滑りそのものに集中したなら、なかなか上達することは難しいとも感じている。だからシーズン初めにしっかりと、プルークでの自主練習に専念する。長年に渡り、わたしを見ているリフト係の方たちが、不思議に思うほど一生懸命やる。
 

 スキー場では毎年、スキーヤーやスノーボーダーの激突事故が絶えない。死亡事故も決して希ではない。
 だから混んでいる時、周りを蹴散らして滑ることは、どうか止めて欲しい。

 他にも上達への道筋は、たくさんあるし、混雑時はその方が効果的なのだから。
 日本ほど上級者が初・中級者を威圧して滑っている国はないのだから。

 

 こうした事実は、もしかしたらいわゆる 『基礎スキー』 と呼ばれるスキーと関係があるのかもしれない。

 

 まず、『基礎スキー』 という命名について考えてみたい。

 なぜ、これを今さら語るのかといえば、親友の遠山知秀氏による 「『基礎』 と 『基本』」 という素晴らしい文章を読んだからでもある。
 興味のある方は、ぜひ下記のリンクを読んでいただきたい。
 http://urx.mobi/AF2n
 

 基礎と基本の違いを遠山氏の解釈で知ると、ことさら 『基礎スキー』 の 『基礎』 という言葉がおかしなものに響いてくる。
 しかも、『基礎スキー』 と呼ばれる会場で見られるスキー技術は、まったく基礎でも基本でもない。それは非常に高次元のスピードと高度なテクニックに裏打ちされた滑りである。
 競技としておこなわれることも多いので、採点もされ、順位も付けられる。
 あえて競技内容から考察するなら 『ターン競技会』 とか、『ハイスピード・スキーターン競技会』 とかいう名称がふさわしい。

 腰が雪に触れそうになりながら高速でカーヴィングするスキーヤーから、基礎とか基本とかいう言葉は浮かばない。

 『技術選手権』 と呼ぶのはいい。しかし、これらを基礎スキーという名称で括るのは、どうだろう。

 

 基礎スキーという名称や競技会は他の国に見つけることはできない。現在日本でおこなわれているような形の競技会も存在しない。

 スキーにはアルペン競技やノルディック競技、ジャンプ競技、フリースタイルと種々様々なものがあるが、日本でおこなわれている 『技術選手権』 という競技会を見つけることはできない。もしあっても、インタースキー代表を決めるためのごくごく内輪の大会であろう。

 

 あえて 『基礎スキー』 と命名されたスキーが、能力の限りの速いスピードを求めている姿は、異常だとも思ってしまう。

 モーグルですら、スピード点を落としていく傾向にあり、よりターンの質を求めている時代なのだ。

 もし 『基礎スキー』 という名前を使うのなら、もっともっと基本に振るべきであろう。

 

 少し脱線するかも知れないが、かつての教程に見られた内倒・内傾のスキーを、わたしは否定してなどいない。ただ、そんなスキーは、基礎でも基本でもないとは信じている。
 基本でも基礎でもない滑りを、『基礎スキー』 として広めようとしたことは、間違いであったと信じている。

 

 日本のスキーがもう一つおもしろくならないのは、こんな基礎スキーの在り方にも要因があるのかもしれない。

 また  『技術選手権』 がアルペンやフリースタイルスキーの全日本選手権を超え、日本最大のスキー競技界となってしまった・・・・・・してしまった・・・・・・ことにも問題があるように思う。