指揮:高関 健(常任指揮者)

ソプラノ:森野 美咲

メゾ・ソプラノ:加納 悦子

合唱:東京シティ・フィル・コーア(合唱指揮:藤丸 崇浩) 


曲目:マーラー:交響曲第2番 ハ短調「復活」


オペラシティ改装中で定期はしばらく休みのシティフィル。創立50周年のシーズンを祝って、サントリーホールで2月はマーラー6番、そして今回は2番「復活」、チケット完売。

「復活」の実演は久しぶり。この10年で3回目。


高関マエストロのプレトークは今回も演奏同様に緻密な分析でした。


1楽章後の休憩(20分)について

・マーラーの交響曲は大規模かつ内容が重いため、演奏中に休憩を入れるケースがあった

・実際に作曲者自身も、特に長大な作品では休憩を設定していた(例:1907年の演奏)

・当時は楽章ごとに拍手が入るなど、現在と異なる演奏習慣があった

・1楽章は特に内容が厳しく、エモーショナルなため演奏者・指揮者双方に大きな負担がかかる

・そのまま続けると集中力・体力の面で影響が出る可能性があるため、休憩を挟むことで全体の完成度を高める意図がある


スコアについて

・マーラーはブルックナーと異なり、初稿から完成まで「構造そのもの」を大きく変えることは少ない一方で、演奏効果(バランス・響き)を重視した修正は頻繁に行う

・マーラーの自筆譜には複数の色(赤・青・黒など)で修正が加えられていて、色によって修正時期や意図の違いが読み取れる。不要と判断した部分は楽器を削除するなどしている


演奏解釈の考え方

・テンポ設定や構造(例:どこで緩める・加速するか)はスコアに基づいて設計する。例えば、ある区間でテンポを40→20に落とすなど、具体的な設計が存在し、スコアにも何拍子で振るかも書いてあるので、それに従う

・最終判断は指揮者に委ねられ、演奏結果がうまくいかない場合は指揮者の責任という認識


そういうことで演奏はまず1楽章、20分の休憩を置いて2楽章以降の二部構成で行われました。


オーケストラの配置はこのコンビのいつもと同じ、1vn - va - vc- 2vn, 上手奥cbでこの日は16型、金管は上手から向かってチューバ、トロンボーン、トランペット、ホルンの順。ハープ2台は下手奥。ティンパニーは3台。

1楽章は22分ほど、出だしの低弦が激しく、気のせいか間が短く聴こえました。全体的に指揮はしっかりと拍を丁寧に振り、クリアに聴こえます。

休憩後、2楽章から5楽章までが約63分。

なんといってもフィナーレ。楽譜に忠実といった次元を超越し、一気にギアを上げて凄まじいエネルギーを感じました。

金管群トロンボーンのコーダ、トランペットのソロ、そして10名のホルンと続く迫力は素晴らしく、打楽器も合わせ大音響ながら濁りや突出もなくアンサンブルが整っていたのも驚異的でした。サントリーホールが会場で良かった。このコンビのマーラーでは今までは2022年3月の9番でしたが、個人的には今回がベストになりました。

高関マエストロは、知情意の中で言うと、楽譜に忠実な「知」のイメージですが、このフィナーレはエモーショナル「情」が強く伝わってきました。


バンダは金管中心にホルン、トランペット、トライアングル。3人目のティンパニー奏者がPブロックの裏廊下に両翼に分かれ、特にホルン隊は10人のうち3-5人位が舞台から出たり入ったり忙しい。

独唱の女声は、下手側の第1ヴァイオリンとヴィオラの間の2席に。メゾ・ソプラノの加納さんの深みのある声、そしてソプラノの森野さんは初めて聴いた前回東響とはリゲティではっちゃける役でしたが、今回の正統レパートリーでは高音が突き抜けて通る美しい声でした。


合唱はP席、女声が多く全体で130名ほど、長い曲のうち最後のわずか10数分。導入の静かなハーモニーからもってかれました。極限まで音量を絞りながらも音の存在感もあってゾクっとしました。あとは復活に向けてアップテンポになった O Schmerz! Du Alldurchdringerからは合唱とオケのめくるめく高揚感、ここは涙なしでは聴けません。トゥッティはスローモーションに見えたティンパニー群はくっきりした打点、鐘も加わって最後もビシッと決まり、フラブラもなく静寂が支配してからの大歓声。


会場出たら頬が熱くなっていました。年度の最終日の夜、いい締めくくりでした。曲の桁外れの規格、エネルギーと演奏が相まって、翌日からの新年度への力をもらいました。音楽のちからは凄い!