前後半全く同一のプログラム、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、ショスタコーヴィチの交響曲10番。
①Gewandhausorchester Leipzig
Music Director/Conductor: Andris Nelsons
Piano: Yulianna Avdeeva
Rachmaninov: Piano Concerto No. 2 in C minor, Op. 18
Shostakovich: Symphony No. 10 in E minor, Op. 93
ネルソンス率いるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管のアジアツアー。日本はスルーです。
アヴデーエワをソリストに迎えてのラフマニノフのピアノ協奏曲2番に、ショスタコーヴィチの交響曲第10番のロシアプロ。
このコンビ、コロナ前にもロシアプロでした。
1年ぶりのネルソンス、前回は激痩せしていたが、今回はだいぶまた増量していて元気そうでした。
アヴデーエワは前回N響で聴いたが、今回のホールの方が音がしっかり聴こえるので全然印象が違う。力強い打鍵と美しい抒情性を兼ね備えた、バランスの取れた素晴らしいピアニストと感じました。
アンコールはショパン。
後半のショスタコーヴィチが凄まじかった。53分。
冒頭のコントラバスのモチーフからしておどろおどろしい。全曲通して信じられないほど緊迫感があり、神がかり的な演奏だった。
ネルソンスのショスタコーヴィチ実演は、これまでも4、6、8、9番と聴いてきましたがこの日は次元が違いました。弦の分厚さ、そしてショスタコの金切り声、叫び声が突き抜けるようにホールに響きます。
楽員も何かに憑かれたかのように、弦の1番後ろのプルトまで全力疾走。同じテンポでも音量の急激な変化、特に音量を増やしていくところが圧巻の追い込みでした。ネルソンスに何があったのだろうかと思うほど、指揮ぶりはこれまで聴いてきた中で最も明確で確信に満ちていました。
オーケストラはヴィオラやチェロの内声が厚く存在感がありました。とはいえ昔はかなり渋い音だった記憶があるので、伝統の楽団といっても現代版にアップデートされているように感じました。ティンパニーが常に芯のある響きで、リズムを刻むだけでなく、弱音を続けて伴奏をするところですら存在感がありました。
ソロでは前半のクラリネットのモノローグ、そしてファゴットの分厚く大きな音量、ピッコロの掠れない叫び。普通はオーボエやフルートのソロが目立つが、この曲ではそうではなかった。
今年の中ではベスト。
②
指揮:タルモ・ペルトコスキ
ピアノ:辻󠄀井伸行
管弦楽:トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番[ピアノ:辻󠄀井伸行]
ソリスト・アンコール:ワーグナー(リスト編):エルザの大聖堂への行列
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番
アンコール:ビゼー「カルメン」第1組曲より「闘牛士」
ペルトコスキがトゥールーズ・キャピトル管を率いての来日公演。
昔プラッソンの時は聴いたことがありますが、その後のソヒエフの時代はことごとくタイミングが合わず聴けなかったことが悔やまれます。ペルトコスキが昨年から音楽監督になっています。
辻井伸行のピアノは一つ一つの音をしっかりと歌わせて、粒立ちがしっかりしている音。
オケも分厚い響き。アンコールは一音ごとに独立して響いてクリスタルクリアな結晶で音の余韻もあり美しいものでした。
ショスタコーヴィチは51分ほど。
ホールの響きもあってかネルソンスの時ほど金切り感はなかったですが、ペルトコスキも踏み込みと強弱のコントラストが鮮烈でした。特に2楽章は快速ならぬ特急のようで、音符を切り詰めているくらいに感じられるスピードで駆け抜けました。
ホルン始め金管群が圧倒的な迫力で、リズムもキレッキレ。
本編ロシアもののプログラムは意外ではありましたが、フランスのオーケストラを意識することはあまりなくロシアの暗く淀んだ世界もしっかり描かれていたように思います。ショスタコの後にアンコールで、カルメンが聴けたのは良かった。
今回はネルソンスに一日の長を感じましたが、26歳でこの完成度のペルトコスキもすごいものです。



