指揮:藤岡 幸夫(首席客演指揮者)
ヴァイオリン:戸澤 哲夫(東京シティ・フィル コンサートマスター)
ソプラノ:安川 みく
バリトン:大西 宇宙
合唱:東京シティ・フィル・コーア
(合唱指揮:藤丸 崇浩)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ソリストアンコール:J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番からラルゴ
ヴォーン・ウィリアムズ:カンタータ「我らに平和を与えたまえ(ドナ・ノービス・パーチェム)」
オーケストラではめったに聴けない声楽曲。藤岡幸夫と東京シティフィルのヴォーン・ウィリアムズ(以下RVW)。
プレトークでの藤岡マエストロのRVW愛が爆発。思いの丈を語っていました。英国在住歴15年のマエストロによれば、イギリスではRVWは頻繁に演奏されているとのこと。しかし日本ではめったに演奏されないのでぜひ聴いてほしいが、なかなか客が集まらない、と客席の笑いを取っていました。
それでもこの日は8割位は埋まっていたのではないかと思います。
前半は、戸澤コンサートマスター就任30年記念でベートーヴェンのコンチェルト。ご本人の選曲だそうです。
コンサートマスターとしてのソロは何度も実演で聴いていますが、ソロでも上手いという当たり前の事実を実感。シンプルに美しく心地よいソロでした。高音の美しく伸びる音、力みのない自然ないい音。はったりや虚飾、技巧のひけらかしとは無縁。
30年コンサートマスターを続ける重みと、揺るぎない力強さを感じました。オケの濃厚なサポートも万全。
カデンツァはティンパニーが入るバージョン、大昔40年前にギドン・クレーメル独奏の時以来。この日のティンパニーはシティフィルには珍しく硬めのバチを使っていました。
アンコールのバッハ共々、いい曲だと改めて思わせてくれる演奏でした。
さて後半。RVWのカンタータ、Dona Nobis Pacem。
第二次世界大戦が始まる前の時代、不穏な空気が漂う中での作曲、1936年の初演。
6つの部は聖書やアメリカ人の詩をもとにした歌詞。死や戦争に関する歌が多いですが、全体的にはテーマの割には長調で明るく力強いエネルギーを感じる曲でした。
冒頭は安川さんの高音の美しく張りのある声のDona Nobis Pacemで始まり、繰り返して歌っていきます。バリトンと合唱は聖書や詩人の歌詞がありますが、ソプラノ独唱は全曲通してほとんどこのDona Nobis Pacemだけでした。
バリトンの大西さんは初めて聴きましたが素晴らしく通りの良い声。ソロお2人とも素晴らしかったです。
舞台後方の合唱は女性が2/3を占めていました。
合唱の迫力も感じられましたが、オケがフルで弾いていて打楽器、鐘なども賑やかでオルガンも鳴っている部分が多くて、合唱の歌詞がマスキングされていたところもありました。オペラシティは大音量になるとすぐ飽和してしまいます。
一番最後も再びDona Nobis Pacemで静かに締めくくって終了。
この先また聴けるかな、一期一会かもしれませんが、定期でこういう知名度の少ない曲を聴かせてくれるのは貴重です。
プログラムにオルガン奏者の方のお名前が載っていないのが残念でした。


