3月末のトリスタンとイゾルデ公演から東京に滞在しているヤノフスキが、引き続きN響定期に登場。


私が初めてN響を聴いたのが、ほぼ40年前の1985年9月。指揮はヤノフスキだった。その年は確かブロムシュテットも客演していた。40年前に二人が指揮していたというのもすごいことだ。

その後ヤノフスキとの関係は疎遠だったようだが、近年毎年春のワーグナーのオペラ演奏会形式で共演し、関係を深めている。


トリスタンと同じく快速テンポで、ブラームスは45分にも達しない。だが出てくる音は筋肉質ながらも16型の低音が響き、マーラーのような大編成でなくてもNHKホールにしっかりずっしりと音が響いた。 ドレスデンフィルの客演コンサートマスターの影響か、最近のエッジが立った演奏の対極な、ややくすんだ弦の響きも懐かしい感じがする。弦楽器奏者の大きなアクションと揺れはヤノフスキへの共感の表れだろう。

デュトワ以降は様々なレパートリーを広げてきたN響が、かつての名誉指揮者サヴァリッシュ、スイトナー、シュタイン達と培ってDNAに残っている昔ながらの独墺系の伝統が蘇る演奏だったように思う。


どの曲もスイスイと進めるヤノフスキ。14時開演で舞台がはねたのが15時45分頃と早かった。