ロッシーニの「チェネレントラ」序曲、菅野祐悟のヴァイオリン協奏曲、サンサーンス「オルガン交響曲」という、真ん中が一捻りのプログラム。

開演前のチューニングでどんな音が聴こえるかでその日の音がなんとなく予想できますが、今日は高関シェフの時とは音が違い、音量も大きく、豊かな響き。

チェネレントラは、弦の細かい刻みが少しずつ増幅していって、金管や打楽器と合わさったトゥッティに至るリズミカルな曲想、ウキウキしますね。

次のヴァイオリン協奏曲は現代作曲家とは思えない曲。濃い目の独奏は神尾真由子さん、延々と濃厚な響きが続いて、曲にぴったりの人選と思いました。作曲家も客席にいて、終演後に舞台上に呼ばれていました。


後半のサン=サーンスは、個人的には1楽章の第2部がダントツのベスト。ゆったりめのテンポにオルガンと弦楽器の弱音が美しくハモり、永遠に続いてほしい美しさでした。

それ以外の1楽章第1部と2楽章は共に前に進むエネルギーは強かったものの、あまり細かいアンサンブルは気にしないのか、透明感は感じず音が時に混濁気味に聴こえることも。とはいえ最後の追い込みはオルガンとオーケストラの相乗効果で壮大な音響でした。チューニングの時の予感はやはり間違っていなかったようです。オペラシティのオルガンを聴いたのは初めてかも。


オーケストラはたぶん14型で、コントラバスが7名。そのコントラバスはかなりアクセントのあるゴリゴリとした音でオケを支えていて、チェロの朗々とした歌も印象的。

管楽器のソロパートは全てを追えていませんが、オーボエ、フルート、金管楽器もホルンは見えにくい席だったにもかかわらずいい音が響いてました。

そしてティンパニが素晴らしい。必要以上に強く叩いてオーケストラ全体のバランスを崩してまで目立とうとする傾向が多い世の中で、この日のシティフィルのティンパニーはトゥッティでも叩きすぎず、でも迫力は十分あり、アンサンブルとしてもオーケストラ、特に中低弦と共鳴して絶品でした。なぜかアメリカの名門、クリーヴランド管のティンパニーを思い出しました。

次回の藤岡さんは、5月のヴォーン・ウィリアムズのロンドン交響曲。一度は実演で聞いてみたい曲、楽しみです。タイプの異なる常任指揮者と首席客演指揮者がいるオーケストラはいいですね。