年内最後のコンサート。ブログ再開したこの2ヶ月は、たくさんの良い音を浴びました。

今年の第九は首席客演指揮者のアラン・ギルバート指揮をチョイス。ニューヨーク・フィルやNDRエルプフィルの監督を歴任している世界的指揮者が定期的に来演してくれている、改めて考えるとすごいことです。都響定期への来季の客演が2週しかないのが気がかり。

今日のプログラムは第九一曲のみ。最近やたらと前座に曲を入れて、休憩まで入れる公演もありますが、第九は一曲で十分だと思います。

ギルバートは譜面も指揮棒も無し。演奏の印象は、速すぎも遅すぎもせず小細工せず堂々と引き締まった筋肉質のベートーヴェンでした。とはいえピリオド奏法とは無縁。あまり聴いたことのない表現は、第四楽章最初の歓喜の歌のチェロの音量を極限まで抑えめにしたところくらいでしょうか。

弦は14型の対抗配置。ヴィオラが下手、チェロバスは上手。この配置で第二ヴァイオリンのパートが普段よりくっきりと聴こえました。都響の弦はもともとリッチな音がしますが、この日はそれに加えて各パートの輪郭がくっきりしていたと思います。変な細工せず曲の良さをいい演奏で伝えてくれる。王道です。(追記:全曲通じてティンパニーのアクセントが強かったです)

77人のオーケストラは後世の管弦楽とくらべれば小さめですが、巨大なエネルギーが出てくるのはベートーヴェンの音楽の力。規格外の偉大な交響曲です。

独唱と合唱はPブロックから。独唱はスウェーデン、アメリカなどから招聘していました。唯一残念なのは、独唱者が3楽章の始まる前に入ってきて拍手とチューニングで一旦緊張が切れてしまったこと。

4楽章のバスの音量が凄まじくびっくり。陽気な方で、他の歌手が歌っている時に首を振ったり最後の合唱は席に座ったままコーラスと一緒に歌ったりと陽気な方でした。他の3名もオーケストラに負けない豊かな声量でした。

いい気分で今年の音楽の聴き納め。来年は1/13沖澤のどか&シティフィル、1/14ソヒエフ&N響から。いずれもフランスもの、楽しみ。新年もまたいい音との出会いがありますように!