Conductor: Tarmo Peltokoski
Piano: Lang Lang
Hong Kong Philharmonic Orchestra
Programme
SALONEN: Castor
GRIEG: Piano Concerto in A minor, op. 16
Encore:
RAVEL: Ma mere l’Oye 3. Laideronnette, imperatrice des pagodes: Mouvt de marche
LANG LANG: Hurwitz Mia & Sebastian’s Theme from La La Land
SIBELIUS: Lemminkäinen Suite, op. 22
ペルトコスキとランランの初共演、北欧プログラム。
カメラがステージ上に4台、客席に少なくとも2台。中継が入っているのでしょうか。
一曲目は指揮者・作曲家のサロネンの「カストール」という曲。現代音楽のような無機質さはなかったですが、それでもメロディーがはっきりしない曲。16型の弦に加えて打楽器、特にティンパニー2台と大太鼓2台のリズムが力強い曲でした。
サロネンは、このオーケストラの今シーズンのレジデンス作曲家だそうで、来年5月にはシベリウス5番をメインとしたプログラムで指揮者として客演します。
続くグリーグは12型、ランランの登場で会場から歓声と奇声がこだまします。特別演奏会でなく、定期に登場しているのが何気に凄い。
33分ほど、強烈な中低音の打鍵と高音のリリシズム、テンポと音量の双方で自由自在、表現の幅が大きいランランに対して、オーケストラが寄り添う印象。2楽章は弱音を極限まで絞って沈潜とした響きでした。ここはペルトコスキの拘りも見えました。
アンコールはサプライズ。ランランが楽譜を持って現れたまでは普通でしたが、ペルトコスキとピアノの前に並んで、なんと二人で着席、連弾でした。
曲はラヴェルのマメールロワ組曲の3曲目、ペルトコスキが低音、ランランが高音を主に受け持って交互に譜めくりまでしていました。連弾で聴くラヴェルの煌めいた音、これだけでも来た甲斐がありました。
アンコール2曲目はランランの自作曲のようでした。
後半のレンミンカイネン組曲は16型に戻って、48分ほど。個人的に好きな曲ですが、なかなか実演で聴く機会がなく、「トゥオネラの白鳥」はしばしば演奏されますけど、全曲版は記憶している限りインキネン&日フィルで一度聴いただけ。9月のバンクロフトN響の同曲を聴き逃したのでリベンジできました。
この曲で好きなのは、弦楽器が弱音でもくぐもった音や、透明感に溢れる音、トゥッティの分厚い響きなど表現が多彩なところです。
ペルトコスキは1曲目では指揮台の上で左右に踊るように振っていました。今年6月のN響のマーラーと香港フィルのワーグナーではこのような振りはなく、曲想による振り分けも見事です。以前と同じことを繰り返しますが、同じフィンランド若手のマケラがどの曲でも同じようにリズムだけ大きく刻むのとは大違いです。
2曲目は「トゥオネラの白鳥」、イングリッシュ・ホルンの物憂げなソロは鉄板の素晴らしさ。
3曲目の後半のヴァイオリンの弱音のトレモロ、それに続くチェロのソロは背筋がゾクゾクしました。一方でクライマックスでは疾走感と追い込みが凄くて、4曲目の後半、全身で渾身の振りで、それが音にも突き抜けて表れていて金管の咆哮も迫力がありました。改めていい曲だなぁと痛感。次に実演で全曲聴けるのはいつの日か。
ペルトコスキの音楽監督の就任は来シーズンの26年9月からですが、今シーズンもDesignate Conductor(音楽監督就任予定)として3プログラムを振ります。継承をうまく進めていますね。
この日、唯一残念だったのは、グリーグの協奏曲からシベリウスの楽章間で毎回拍手が続いたこと。ランランだから普段と聴衆が違うのかもしれません。おまけにスマホ落下音が4〜5回響き渡り、携帯の着信音まで。今の中国本土でもこんなことはない光景、この日に限っては香港の聴衆の質の低下が著しいと言わざるを得ませんね。
でも全体的に素晴らしい出来だったので、大して気にもなりませんでした。





