指揮/エリアフ・インバル

ソプラノⅠ/ファン・スミ

ソプラノⅡ/エレノア・ライオンズ

ソプラノⅢ/隠岐彩夏

メゾソプラノⅠ/藤村実穂子

メゾソプラノⅡ/山下裕賀

テノール/マグヌス・ヴィギリウス

バリトン/ビルガー・ラッデ

バス/妻屋秀和

合唱/新国立劇場合唱団

児童合唱/東京少年少女合唱隊


マーラー:交響曲第8番 変ホ長調《千人の交響曲》


前日に90歳の誕生日を迎えたエリアフ・インバルの指揮、都響との3回目のマーラー・ツィクルス。

チケットは気づいた時には売り切れていて、3日間連続公演の最終日の当日券を幸いにも入手できました。


大規模な曲でなかなか聴く機会には巡り会えず、人生でまだ2度目のマーラー8番。

他の交響曲と比べて実演に接する回数が少なく、いまだにメロディーや曲の流れが頭の中に全く入っていません。ということで、いつも以上に感覚的な感想となります。


指揮台上には椅子もなく、インバルは立ちっぱなしで80分を指揮。

冒頭のオケ、合唱とオルガンの力強い響きを聴いただけで、一気に持っていかれました。

各楽器の力強い音量と、弛緩せず推進力のあるテンポ、細部の彫琢の美しさが高次元で共存しているのも驚嘆。まだ馴染みがありませんが、すごい演奏であることは十分に伝わってきました。


この日は今までになかった体験が。席がバンダ(ステージ上で演奏しない別働隊)の近くだったこと。

3階席の左右に、トロンボーン3名、トランペット3名が配置され、第一部の終わりと、第二部の終わり、つまり最終部に登場しました。


席からも譜面が見えるくらいで、ユーゲントシュティールの時代を思わせるような字体。

譜面は1ページだけでした。

同じ場所に第二部の後半ではソプラノの隠岐さんが立ち、歌まで聴けたのも僥倖。

長年コンサート通いしていますが、声も楽器もこんなに至近距離で聴いたのは初めて。歌は一つ一つの歌詞がくっきりと美しく聞こえるだけでなく、息遣いまで感じられ、身体全体を使って声を出していることがよくわかりました。

間近で聴く金管楽器は舞台上のオーケストラの音が一瞬聞こえないくらい強烈、まさに輝かしい響きで、これは生でしか絶対に味わえませんね。

舞台まで距離があるのに、音の鳴り終わりが舞台上とバンダがぴったりと合うのもさすがでした。





東京文化会館を揺るがすような轟音が鳴り轟いたのは、今回と、40年前のショルティ・シカゴ響以来かもしれません。


インバル、足腰に衰えは見えず、現役の同世代ではデュトワと双璧でしょう。歩いて足腰を鍛えないと、すぐ動けなくなって老けてしまう、これからの後半生のことを思いました。