こうなったら…どうにでもなれー!
覚悟を決めた僕は、
濡れて脱ぎにくくなった服を一気に脱いだ。脱いで洗面台に投げ込み、
堂々と…とはいかないが、
ユノが待つ浴室のドアを開けた。
幸い…とでも言おうか。
温泉の湯気が立ち込め、
ぼんやりな視界で都合がいい。
コンプレックスの塊な僕の体、
ユノは見ているのだろうか。
そんなことを考えたら、
やっぱり恥ずかしさが先に立ち、
さっきの勢いはどこかに飛び、
体を丸めながら、洗った。
シャワーを止め、振り返ると、
浴槽の中のユノは、
黙ったまま、窓の外を見ている。
見られてなかったかな…
ちょっとほっとする。
「入る…よ」
「うん…」
ゆっくり肩まで浸かると、ユノは振り返り、ユノも僕と向かいあった。
「僕たちが足を伸ばしても座れるからいいね」
「…うん」
「気持ちいいね…」
「…」
「ユノ?あれ?ユノっ?」
「…ふぅ」
「ユノ、鼻血っ!わあ!大丈夫?」
「熱い…」
「ユノ、出てっ!」
今度は恥ずかしさがどこかに飛んでしまった。
それどころじゃない。
ユノは真っ赤な顔をして、
鼻血を垂らしていた。
僕はユノを抱え立たせ、タオルで体を包む。
洗面所に座らせ、水道水を飲ませた。
テッシュを掴み、ユノの鼻血を拭く。
「大丈夫?ユノ」
「…うん、ごめん」
タオルを水で濡らし、首に掛け、
別のタオルでユノに扇いた。
「チャンミン…」
「ん?気持ち悪いの?」
「いや…」
「水、もっと飲む?」
「いや…。服…着て」
「えっ?!」
「目の毒…だ。鼻血止まらなくなる」
「ギャーッ!ユノのバカ!」
僕はユノを洗面所に置きざりにして、
リビングに逃げた。