薬がもう効いてもいいはずなのに、ユノはさっきより熱い。
僕は暖房で体がポカポカなのに、
こんなに震えるユノ。
ユノの手を擦ったり、
手を火照った僕の頬に押さえたり
そうしているうちに、
僕は意識を手放した。
気がついたときには、僕の体にユノに掛けたはずのダウンジャケットが掛けてあった。
「ユ、ユノ…」
小さく呼ぶと、ユノはうっすら目を開けた。
気づけばあたりが明るくなり始めていた。
「チャンミン、ごめん…ずっとそばにいてくれたんだね。」
「そんなことより…ユノ、寒くないの?これっ…」
「凄く暑くなっちゃって…」
「熱い?」ユノのおでこに手をやると、
さっきよりずいぶん冷たい。
「じゃあ、水分飲もう」
「さっき、喉が乾いて起きたんだ。そしたら、チャンミンが手を握ってくれたまま、座って寝てるからびっくりして…。あちこち痛いだろ、ごめんね」
「そんなの平気だよ」
「何も掛けてもいなくて、チャンミンが風邪ひかなきゃいいんだけど…」
「僕は平気だよ。ユノ、暑いなら着替える?」
「うん…」「待ってて、タオルと着替えを用意するね。
あ、これ入れておいて」
体温計をユノの脇に突っ込んだ。
脱衣所にあったタオルをお湯で濡らし、固く絞る。
着替えも、さっき乾燥機から出した部屋着があったから、すぐにわかった。
「37.5…まだ微熱があるね」
「でも、昨日より全然楽だ」
「今日は仕事休まないとね」
「ああ、有給貯まってるからそうする…」
「僕も…休むよ」
「えっ?!大丈夫なの?」
「大丈夫…」
「本当にっ?!」
ユノが何となく笑顔になった気がした。
病気の時、一人暮らしは心細いのがわかる。
「今日は僕がユノの看病をするよ」
そう言うと、
「病気するのも悪くないな」
そう言って、僕の手を握った。