待たされる時間程長く感じるものはない。


夫が造影室に入ってから1時間が経過していた。


中の様子は全くわからず、不安ばかりが募る。


内科の患者として受付をしていたので、血液検査の速報は内科のプリンターから出力されていた。

その結果を知らせに、山田ナースが待合を訪れた。

一緒に3人のナースも来た。


皆泣いている。

患者さんが沢山いるのに、その目を気にする事も無く、目を真っ赤にして泣いている。


「須藤ちゃん・・須藤ちゃん・・」


そう言って彼女達は私の手を握る。


私は手渡された採血結果を見る。


データはめちゃくちゃだった。


ほぼ全ての項目の数値が下がり、危険マークが出ている。


それでも私は実感が湧かない。


患者さんのデータを見ているような気持ちで眺めていた。



内科に勤務していると、様々なシーンに出くわす。


癌の宣告をされた患者の家族が、医師を目の前にして、診察室で号泣するのはよくある光景だった。


私はそんな時、漠然とだが、いつか将来、自分の夫の最終宣告を受けた時にはこうやって取り乱し、号泣するのだろうな。と、考えていた。


だが、現実に自分がそういった当事者になってしまった今、取り乱すなんて事は全く無かった。


涙も出ない。


自分は冷酷な人間なのではないのか?


と、考えてしまう程、冷静だった。


仲間が何故号泣しているのか、理解できずにいた。