断捨離を兼ねて、「買い取り屋」に訪問を願った。

押し売りならぬ、”押し買い”が横行しているという。

善意な業者であることを祈りながら来訪を待った。

レコードと着物地の買い取りをお願いしたのだが、あれこれ家を片づけていると、捨てるのがもったいないような物が次々と出てくる。

値打ち品かどうかは定かではないが、一応聞いてみようということになり、あれもこれもと出しているうちに玄関先いっぱいに積み上がった。

中身のない額縁なんかもある。

電化製品などは、たとえほとんど使っていなくても、製造から数年経過したものは価値がないらしい。そう聞いたことはあるが、捨てるのがメンドクサイという理由から、一応出しておく。

タダでもいいから持って行ってほしいという横着心である。

 

時間通りにいらしたのは、看護職員かと思うような腕っぷしもよさそうで、体格のいい若い男性。おそらく買い取り荷物の中には、持ち重りのするものも多いだろうから、ひとり雇うなら、できるだけ力持ちがいいのに越したことはない。

査定の根拠などひと通り説明したあと、「どんなものでもいいですから、アクセサリーってありませんか。一点でもいいですから」とおっしゃる。

わたしが「そんな大した価値のものはないですから」と謙遜ではなくそう言うと、さらにスタッフ氏、「大したものでなくてもいいんです。一点でもいいですからここに出してください」と先ほどよりも、明らかに言いかたが強引になっている。

少し怖くなった。

高価なものでなくても、必要なものとそうでないものがある。

それをまだ分別もしていないのに、ここに出すのは気が進まない。

そう言うと、「出していただければ、必要なものとそうでないものをこちらで分けてご提示しますから」とおっしゃる。

わけがわからない。必要性について、他人のあなたがなぜ決める???

さらに、「それがないと、この着物地にもお値段がつけられません」と続ける。

さらに意味不明だ。着物は着物、アクセサリーはアクセサリー、別物ではないのか。

何か追加すればその価値があがるってなんだかヘンだ。

ともかく納得できなかったので、頑としてわたしも譲らず。

ようやく相手もあきらめて、お愛想が最初よりは若干低下したようだ。

 

結局買い取りが決まったのは、LPレコードと、版画、絵画の3点となった。「これって便利でしょ」と少し自慢げに言いながら、持ち運び式のプリンターで手際よく契約書を作って、あっさりと帰って行った。

 

そのあと電話で、くだんの買い取り業者からアンケート調査があった。

来訪した職員の対応について、10点満点中何点でしたか? と問う。

難しい質問だ。強引さについてかなりマイナス点を与えたかったが、復讐されたらいやだし……などと過剰に反応してしまい、「9」点と答えた。

高い点数を与えたからって、相手が喜ぶだけで、こちらには何の弊害もない。

かなり無責任な回答ではある。

ただ、もうここには頼まないだろうな、という予感はしている。