8月28日、ガンガの源流に近いボジバーサ(3600m)から、ガンゴートリ(3100m)に戻ってきたが、ここはやはり上の天界から降りてきた下界に感じる。下から上がって来た時には、ここガンゴートリは天国だと感じる程、清らかな空気を感じたのに・・・。

下界と感じたここに、何かと不便な(携帯電話もネットも繋がらない)所に長居する気は失せ、予定を繰り上げ、翌朝に出発することにする。

 

8月29日、午前3時45分、Gさんに起こされ、真っ暗な中(インドでは普通にある停電)慌てて用意をして、4時半にホテルを出る。私は車いすと荷物のためにポーターさんを2人頼んでおいたのに来ない。荷物はEさんに持ってもらい、足を引きづり杖をついてバス停まで歩く。

 

5時にリシケシ駅行きのバスがあるとのことだったので、バス乗り場で1時間待つが、バスが来る様子はない。

6時頃になって、同じ様にバスを待っていた人たちと乗り合いジープで行くことになる。

乗り合いジープは、7人乗りだが、ここらのジープのドライバーは、10人乗せないと出発しない。つまり、3人の座席に少なくとも4人は座らなければならない。座席に何とかお尻は置けたが、身動きできない。暫く走ると腰を動かしたくなるが、全く動かせないので我慢するほかない。身動きできないのは、インドの山道の悪路での揺れが和らぎ、揺れによる気持ち悪さが緩和されるメリットはある。

インドの山道は、崖崩れが多いし、多くのドライバーは飛ばせるだけ飛ばす様な乱暴な運転の人が多いので、山道のジープはひたすら車酔いしない対応をしなければならない。私は、ひたすら居眠りをする。風景を見る余裕はない。

居眠りをしている間に、10時半頃ウッタルカーシの街に到着する。

 

ここでジーブを乗換、リシケシに向かいたいが、リシケシ行きの客が少なく、ジープ客が10人になるのを待つのは気の長い話なのだ。

ここならリシケシ行きのバスが出ているはずだ。

ジープ乗り場からバス乗り場へ移動しようと動いていると、ジープのドライバーが声をかけてくる。3人しか乗客はいなくてもリシケシまで行くと言うのだ。Gさんは3人でも料金は割高にはしないと約束させ、この少し無骨な30歳位(?)の男のジープで行くことになる。

暫く走ると、はっきりとわかってきたがこのドライバーは、自閉傾向があり、自分なりの儀式をしないと走りださない。運転は慎重なのはいいが、普通のいい道でも30~40キロ位で走るのだ。後ろからブッーブッー鳴らされてもスピードを上げようとはせず、マイペースで走り、次から次に後ろの車から追い越される。初めのうちは私たちもこれではいつ目的地に着くのかと心配になり、Gさんは私が代わって運転したいくらいだと嘆いていた。

しかもこのドライバーは、途中で拾う客が目当てでもあり、途中途中で”リシケシ行きの人いませんか~”と、止まって声をかける。乗り合いジープは乗り合いバスと同じ様に利用されているらしい。

このジープにも何人もの乗客が乗り降りした。料金はほぼ決まっているようで、乗客は降りる時適切にドライバーに渡しているようだった。

ある時、途中で乗った女の乗客が、少なくしか払わなかったようで、ドライバーと言い合いになった。ドライバーは”足りない!”と言っているようだが、女客は甲高い声でまくしたててそれ以上払おうとしない。ドライバーは”たりない~”と繰り返す。周りの乗客は黙って見ている。ついに、女客は10ルピーを渡して降りて行った。10ルピー(20円くらい)で、こんな派手ないさかいになるのを見て、複雑な思いになる。

 

ノロノロ運転にも慣れ(?)、周りの景色を見る余裕もあり、異国のこの景色を見るために旅をしているのだ~、という気にもなる。

北インドの山々と村が沈んだらしいダム湖を眺めたりしながら、Gさんと話す余裕も生まれ、”旅は楽しいな~”を味わっていた。

特にインドの山道の悪路は、揺れが激しいのでひたすら耐えるという感じなのだが、このドライバーは、ゆっくりと走るので、乗客の私たちもゆっくりした気分になっていた。初めは、ドライバー選びが失敗だったかなと頭をよぎったが、後ではこの無口で無骨なドライバー選びは正解だったな、と思うのだから私たちもいい気なものだ。

 

途中、昼食休憩をいつ取るのかとずっと待っていたが、自分のトイレや用事のためにはストップするものの、乗客の休憩は考えていないのかと思った。それでも、やっとこさ3時過ぎた頃、自分も食べたくなったのか、休憩のために止まってくれた。私たちは、いつ出発するかも分からないので、トイレに行き、チャイとビスケットで済ませた。

 

リシケシに近づくにつれ、崖崩れあとが多くなり、ジープも交互通行だったり、ガタガタとやっと通る様子だったりだった。この道では、バスは通れないだろうと思われた。

今回、私たちがガンゴートリに入るのに、ハリドワール(神の門という意味らしい)からバスで行ったが、普通はリシケシから入るのだとGさんは言う。

結果的にこの選択は、正解だったことになる。

帰路このリシケシへの道を通っているのだが、崖崩れの為に大変な悪路で、このドライバーのゆっくり運転が最適になる。

6時間でリシケシに着けると言っていたが、1時間位超過しただけで、無事リシケシ駅に到着。

リシケシの待ち合わせ場所のバスターミナルまで行ってくれと言うと、50ルピーで大喜びで運んでくれた。

何とも愛すべきジープドライバーさんだった。