カブにまたがり戦闘態勢でドシャブリの雨を突き抜け家路を急いでた、なんと、
眩しいライトの対向車の跳ね上げた水しぶきを、まともにくらってしまった、
グラッとしてビクッとしてムカーッとした、国道なのに直しとけよーっ、
内股から肛門に水がしみてきてウヒョーって冷たい、
だから、ただ暖かい風呂に沈む姿を念じグリップを握り締めた、、

雨の日は、焚き火するのが最高だ、
火は水に弱い?それは火の強さによるんです、

雨の日も昼飯を食いに天国に来るのはいつものこと、台風26号が伊豆に接近する日も
俺は山にいた、今のとこ普通の雨だ、ラジオを聴きながら農機具を修理するより
伐採してほったらかしの大量の木や竹を片づけたい、

太い伐木は腐りにくい、かと言って燃せば山火事が心配だ、
そう、雨で濡れてる森は絶対燃えないよね、、
焚火

小屋の外壁から剥ぎ取ったトタン板を舐め上げる炎は、ブッ、ブッと音をたて雨粒を跳ね飛ばす、
付いてたコールタールが溶け、あの独特の懐かしい臭いが鼻を突く、
何でもっと早く思いつかなかったんだ、こんなに燃えるなんて、
俺は、悔しくて嬉しくて心が躍った、
工夫は常識を変えるんだ、

合羽着て一心不乱にクズのツルに絡まった太い枝をしゃにむに引っ張り出し手早く火の中にくべる、
休めないのは、濡れが乾く時間をかせぎたいからだ、
目に沁みる灰色の煙が雨をものともしないでモクモク空に伸び上がってく、、

気がついたら雨は止んでた
合羽なんて着ない方がいいくらい、汗でズブ濡れの俺が可哀想だと、雨の神様に親父が頼んでくれたんだ、

秋の夕は釣瓶落としの様、真っ赤なオレンジ色の炎がユラユラと周りの立木の幹を幻想的に照らしてる、
時おりパチッ、パチッと火の粉の散る音が闇に響いてはっとする、

もう、そろそろ帰ろう、火も落ち、棒で広げた真っ赤な炭のキラキラは、
ネオンのそれと違い、柔らかで優しくて吸い込まれるように綺麗だ、
ジッと見つめてると、芋じゃなく鋼を焼いて刃物を造りたい衝動にかられる俺はやっぱり蛙の子だ、

あの大量の伐採枝も、燃えてしまえば信じられないほど少量の灰と炭に変化した、
そして、この灰は天然の肥料になる、ため息が出るくらい見事な自然の循環だ、、

玄関で、濡れた野良着は脱ぎにくい、つま先立ちで風呂場にまっしぐら、
大きく深呼吸するとフワッと体が浮かびそうな湯船は最高だねぇー、
今日で三回目の焚火で、長年の思いが片付いて本当に良かったなぁと、
目をしっかりつぶったら、ありがとうって声が出た、、。