思い出した言葉があった
今は 誰も言わなくなった言葉
髪結いさん
美容師の事。
私が、まだ小さい頃(幼稚園児くらいの頃だから50年ほど前)
外で遊んでると 隣の靴屋のおばちゃんが
自分の娘を連れてきて
こーしちゃん、うちの子と遊んでやって
と、言ってきた
うん! 弟より、いっこ下の女の子だった。妹がいなかったから
面倒みてても楽しかった
すると 近所のおばあちゃんが
あれー どこの子供達かと思ったら
髪結いさんとこのお嬢ちゃんとぞーりやの子でしょ、
危ないことして遊ぶんでないよ
そう言って声をかけてくれたものだ
髪結い とはなかなか言わず
かみいーさんの と聞こえる
確かに あの頃の髪は 今と違う。
一週間に一度 洗髪←
まず 店に来て椅子に座ると お客様は
シャンプーとセットね、
と言う。
まずは、1~2週間結っていただろう髪を解すことから始める
中からすき毛を取り、ピンを取り、
ブラッシングをする。
頭皮から白いものが浮いてくる
フケ。
今度は 髪を分けて 黒い下敷きのようなものをお客様の額にあて
その上に 櫛でフケを飛ばすのだ
瞬く間に 黒い下敷きの上に フケが飛ぶ。
せっせとフケを弾き取り、
マッサージをしてから
やっとシャンプーする。
中には、マッサージだけで、そのまままた
セットだけする人もいた。
今の人がこれを読んだら
ひぇ~ 気持ち悪い! って、思うことでしょうね
髪を結わない人でも 髪を洗うのは
三日に一度、いや それ以上だ。
男性は、体をあらう石鹸で頭も洗う。
だから銭湯には 固形石鹸と、タオルだけ。
という人が多かった
母が美容師の修行時代は、もっとひどくて
一ヶ月、二ヶ月 髪を結いっぱなし という人がざらだったよ
だから 臭くてねぇ 匂い消すのに トニック使ってさ、
振りかけて頭の匂い消すの。
洗いますか?って聞いても
このまま結って って言われて。
ところで 今みたいにボイラーも湯沸し器もない時、どうやって頭 洗ったの?
と聞いたら
タライに(タライとは、大きな木の器)お湯を入れて そこで洗ったんだよタライから桶でお湯をすくって
髪にかけて洗ったそうだ
今のような 髪を長く下げた人は、
病人くらいで
長い人は、必ず結ってるか 後ろで縛るか
あとは、ショートカットにしてパーマをかけて
るか。
ツィギーカット か、瀬戸の花嫁を歌った頃の小柳ルミ子のような髪型か流行りだした。
その後 アグネスチャンや、麻丘めぐみといった
ロングヘアーのストレート
そしてヴィダルサッスーン のサッスーンカットが流行って
髪を結う人は、いなくなった。
今の美容師さんに 髪を結い上げてアップの髪を作って下さい
といっても 出来る人は、限られるだろう。
だから成人式の子達の髪型は
みんなキャバクラ嬢の頭みたいに 着物に合わない髪をしてるんだろう。
母が その腕を 奮ったのは
私の三人の娘たちの成人式の髪だ
下から長女。真ん中 次女
一番上が三女。
三女は、顔がデカイから、横に髪を下げたいったら下げたいと
母の言うことを聞かなかったので、
私も、母もあまり好きな髪型ではないが、
長女は、新日本髪を結った。
これ以降
母も髪を結うことはなくなった。
母も
三人の孫の髪を結えて 美容師やってよかった……と言っていた。
三女の成人式の時、
母は
84歳だった。
私が、成人式の時に買ってくれた着物を
三人とも着てくれた
ありがたいことです。
髪結いさん。
その呼び方 残ってほしいなぁ
