会話の達人になる方法

 

プレゼンテーションを成功させるには、コミュニケーションがとれる会話術が必要です。ここでは、「会話の達人」になるための、心地よいコミュニケーションの秘訣を具体的かつ分かりやすく解説します。

 

会話は才能ではなく、意識と練習で上達するスキルです。一番大切なのは「相手に気持ちよく話してもらうこと」をゴールに設定すること。自分がうまく話すこと以上に、相手が「この人と話していると楽しい」「心地よい」と感じてくれれば、自然と会話は弾みます。

 

心地よいコミュニケーションは、いくつかの要素で成り立っています。土台となる「心構え」、具体的な「技術」、そして「実践」の3つのステップで見ていきましょう。

 

ステップ1:最も大切な土台となる「心構え」

 

テクニックの前に、まずこのマインドセットを持つことが何よりも重要です。相手への「純粋な好奇心」を持つ。

 

「この人はどんな人だろう?」「何に興味があるんだろう?」「どんな経験をしてきたんだろう?」という、純粋な興味がすべての基本です。自分が話すことよりも、相手を知ることを楽しみましょう。この気持ちは自然と表情や態度に表れ、相手に安心感を与えます。

 

そして、完璧を目指さない。「何か面白いことを言わなければ」「沈黙が怖い」といったプレッシャーは、自分を固くさせ、会話をぎこちなくします。沈黙はあってもいいし、少し言葉に詰まっても大丈夫。「うまくやろう」ではなく「この時間を楽しもう」という気持ちに切り替えましょう。

 

会話はキャッチボールです。自分が一方的に話し続けるのは「ドッジボール」、相手に質問ばかりするのは「尋問」です。相手が投げたボール(言葉)をしっかり受け止め、理解し、そして自分の言葉を添えて優しく投げ返す。このキャッチボールのイメージが大切です。

 

ステップ2:心地よさを生み出す具体的な「技術」

 

心構えができたら、次は具体的なスキルを身につけましょう。最強の武器は「傾聴」です。会話上手は、実は「聞き上手」です。相槌のバリエーションを増やします。

 

単に「はい」「うん」だけでなく、「なるほど!」「そうなんですね!」「すごい!」「それでそれで?」といった感情を乗せた相槌を打ちましょう。相手は「しっかり聞いてくれている」と感じ、もっと話したくなります。

 

相手の言葉を繰り返すバックトラッキングをいれます。「昨日、京都に行ってきたんですよ。」、「へぇ、京都に行かれたんですね!」のように相手の言った単語を繰り返すだけで、「あなたの話を聞いていますよ」という強力なメッセージになります。

 

また、感情に寄り添うことも必要です。相手が話す事実だけでなく、その裏にある感情を汲み取ります。「それは大変でしたね」「嬉しい気持ち、すごく伝わってきます」といった一言が、相手との距離をぐっと縮めます。

 

そして、会話を広げる「質問力」を身につけましょう。良い質問は、会話を豊かにし、相手を深く知るきっかけになります。例えば、「どんな映画が好きなんですか?」「最近、何か面白い映画はありましたか?」「どうしてそう思うんですか?」「具体的に言うとどんな感じですか?」など、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにを使うと、自然と開かれた質問になります。

 

それから、一つの話題を深掘りするのもいいです。次から次へと話題を変えるのではなく、一つのテーマを少し掘り下げてみましょう。「趣味はキャンプです。」「そうなんですね!最近はどこか行かれましたか?」「この前、富士山の近くに。」「いいですね!キャンプのどんなところが好きなんですか?」とか。

 

そして、自分を伝える「自己開示」も必要です。聞き役に徹するだけでなく、自分の話をすることも大切です。相手の話に関連づけて話します。「最近、犬を飼い始めたんです。」「そうなんですか!かわいいでしょうね。実は私も昔、実家で犬を飼っていて…」。

 

このように、相手の話を起点に自分の話を少し加えることで、共通点が見つかりやすくなり、親近感が湧きます。しかし、出し過ぎには注意しましょう。自己開示は、会話の潤滑油ですが、自分の話ばかりにならないように注意しましょう。割合としては「相手の話:7割、自分の話:3割」くらいが心地よいバランスです。

 

それと、言葉以外の「非言語コミュニケーション」も大切です。人は言葉そのものよりも、見た目や声のトーンから多くの情報を受け取っています。相手の目を見て、少し口角を上げるだけで、安心感と好意が伝わります。

 

姿勢もそうです。相手の方に少し体を向ける、腕を組まずに開いた姿勢でいることで、「あなたに関心があります」というサインになります。さらに、少しだけ明るく、落ち着いたトーンで話すことを意識しましょう。

 

避けるべき4つの行動は、話を遮ることです。相手が話し終えるのを待ちましょう。それに、「でも」「いや、それは違う」から会話を始めるのはNGです。まずは「なるほど、そういう考え方もあるんですね」と一旦受け止めましょう。

 

また、「こうした方がいいよ」というアドバイスは、相手が求めていない限り控えましょう。自慢話や愚痴ばかりでは、聞いている相手を疲れさせてしまいます。

 

まずは家族や親しい友人との会話で、一つでもいいので今回紹介した技術を意識して使ってみましょう。例えば、コンビニの店員さんに「ありがとうございます」に加えて「今日は暑いですね」と一言添えてみるなど、短い会話から始めるのも素晴らしい練習です。

 

以上をまとめると、会話の達人への道は、特別な才能を必要とするものではありません。相手に純粋な興味を持ち、心地よく話してもらうことを一番に考えることです。

 

この気持ちを忘れずに、傾聴、質問、自己開示のスキルを少しずつ実践していけば、あなたの周りには自然と心地よいコミュニケーションの輪が広がっていくはずです。焦らず、楽しみながら挑戦してみてください。プレゼンテーションにも役立つはずです。