『行政職員向け手引き』
LGBTなど性的少数者への適切な対応を促そうと指針を作る動きが広がっている。
職員が性的少数者への偏見や無理解を人権課題として捉え、
当事者を身近な存在と自覚した上で職務に当たるよう求めている。
多様な性の基礎知識や誤った対応例、職場で気を付ける言動などを盛り込む。
性は男性と女性に限られず、生物学的性や性自認、性的指向といった複数の要素から
成り多様であるとし「どのような性であっても、それぞれの在り方が尊重されるべき」と述べている。
同性愛者の団体が公共施設の利用を拒否された「府中青年の家」事件で、
東京高裁は1997年、被告の東京都を「行政当局は、同性愛者の権利、利益を十分に擁護することが要請され、
無関心であったり知識がなかったりということは公権力の行使に当たる者として許されない」と断じ、
差別的対応と認定した。
「投票の本人確認で本人と認めてもらえず、仕方なく性同一性障害だと伝えたら職員から大きな声で復唱された」
といった訴えもあった。
職場環境に関する章では、女装で笑いを誘う出し物や、「レズ」「ホモ」などの呼称は差別的言動に当たると示している。
「戸籍上の性別と見た目が違うので書類の提出時に何度も確認されて嫌だった」
「出生段階の法律上の性別と自分の性別が違うと思っている」人のうち、3割が「行政窓口の対応に困った」と回答。
本人確認は周囲に分からないよう名字で呼ぶなど工夫する▽DVが同性間で起こり得ると想定して相談を受ける
「奥様」など異性パートナーを前提とした呼称を避ける‐などの具体策を挙げている。
あらゆる性の人が行政サービスを公平に受けられるよう環境を整えるのは、行政の責務だ」と強調する。