【取った! 守った! 勝った!!】 | 【かほり放送局】

【サッカー・アジア杯決勝】

2大会ぶり、単独史上最多となる4度目の優勝を達成した。アルベルト・ザッケローニ監督(57)は就任以降、指揮を執った試合は8戦不敗。日本代表監督として歴代単独1位となった。
 就任から国際Aマッチ8戦無敗は第1次岡田政権を抜く単独首位。南アW杯から続く12戦連続無敗も首位タイだ。各大陸王者が集う、13年のコンフェデレーションズ杯出場権も獲得。団結力で勝ち抜いたザック・ジャパンが史上最強の日本代表へ、階段を上り始めた。
ザッケローニ監督は強さの理由に「Grande Compattezza(偉大な団結力)」と何度も口にした。

ドーハ・カリファ競技場4万収容のハリファ競技場は満員に近い人の入り。華やいだムードに包まれた。約300人の日本サポーターはバックスタンドやや左に陣取り、「我らが日本。可能性は無限大」の横断幕を掲げて声援を送った。

 日本は延長後半4分に李忠成が豪快な左足ゴールを決め、1-0で豪州を下して2大会ぶりの優勝を果たした。

GK川島永嗣守護神は尻上がりに調子を上げスーパーセーブを連発した。
 取った! 守った! 勝った!! 鬼の形相でゴール前にたちはだかり、咆哮した。
GK川島永嗣守護神は尻上がりに調子を上げスーパーセーブを連発した。0―0で迎えた後半27分。DFラインの裏に抜け1対1となったFWキューウェルのシュートを右足一本ではじいた。42分にもゴール前に飛び出したキューウェルに向かって猛然と飛び出し、シュートを防いだ。鋭い攻撃を仕掛けてくるオーストラリア相手に、川島を中心とした守備陣の集中力は90分間、一瞬たりとも途切れず、そのまま延長戦に突入した。
延長戦でオーストラリアは前半の開始直後から力ずくの攻めを仕掛けてきた。それでも、吉田、途中出場した岩政らDFが体を張った。11分には川島が好判断の飛び出しでカーヒルともつれ合いながらクロスをキャッチ。3分後にはクルーズのヘディングシュートを右手一本ではじいた。守備陣は日本の得点を信じて体を張り続けた。

 1次リーグ、シリア戦では連係ミスもあり誤審騒動”で一発退場。

ミスから直接FKを決められた。今大会出場した4試合で6失点。1次リーグ第3戦・サウジ戦を完封した西川と対照的に1度も完封がない。関係者によると、カタール戦後、自らの不調を感じ取っていた川島の言葉数は極端に減り1人で何かを考えることが多かったという。
「いろいろあったけど、今は振り返っているときではない。自分たちがトップに立ってから振り返りたい」

 そんな川島を救ったのが信頼を寄せたイタリア人指揮官の存在だった。「落ち着いてやれば問題ない」。うつむきかけたとき、ザッケローニ監督の言葉が背中を押した。「わたしはお前を信頼している」とだけ言葉を残し、叱責は一切口にしなかった。「普段の生活、言葉、振る舞い。すべてから信頼を感じる。だから応えようと思う」(川島)。最後の大舞台で120分間ゴールを守りきり、期待に応えた。

ザッケローニ監督からそう声をかけられたGKは「言葉だけじゃなく、振る舞いまでも信頼を感じる。GKは特別なポジションだと思うし、信頼に応えたい」とモチベーションを上げた。準決勝の韓国戦ではPK戦でスーパーセーブを連発。ザッケローニ監督からは「ミスのないGKはいない。でも川島はミスの少ないGKだ」と決戦に送り出されていた。

MVPは本田圭(24)=CSKAモスクワ=が選ばれた。

第3戦のサウジアラビア戦を欠場したが、他の試合では全て先発出場。第2戦のシリア戦ではPKから決勝点を決め、準決勝の韓国戦ではPK獲得につながる決定的なスルーパスを出すなど多くの得点に絡んだ。

インタビューで「(優勝もMVPも)正直、実感がない」と率直に語り「うまくいかないこともある中で厳しい試合を競り勝って、(今日も)延長までいって勝てたのが先につながる。大きな大会だった」と総括。MVP獲得に「この賞はチームメートとスタッフに捧げたい。みんながいなければもらえなかった」と感謝の気持ちを伝えた。