【事故機・ボルトの穴】 | 【かほり放送局】

原因
主翼の燃料タンクに突き刺さったボルト=国交省航空・鉄道事故調査委提供
 那覇空港で中華航空120便(ボーイング737―800型機)が爆発炎上した事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は23日、右主翼内部で脱落したボルトが燃料タンクを突き破り、2~3センチの穴が開いていたと発表した。

 このボルトは、燃料タンクに組み込まれている主翼前端部の可動翼(スラット)を動かす装置から脱落したものとみられ、この穴から燃料が漏れていた。

 事故調は今後、なぜ短時間のうちに大量の燃料が流出したのかを解明するため、事故機の燃料系統の調査を進める。

 国交省は同日、同型機、同系列機計23機を保有する日本航空、スカイマーク、エアーニッポンの3社に対し、航空法に基づき、スラット周辺部品のボルトについて緊急点検を命じた。事故調によると、穴が見つかったのは、両翼に計8か所あるスラットのうち、右主翼エンジンに近い5番スラットを前後させるため、燃料タンク内に約30センチ組み込ませた部分。後端部分には、組み込み部分からの飛び出しを防ぐための部品がボルトとナットで留められている。

 スラットは機体の揚力を調整するもので、飛行中は主翼前端部に格納されるが、離着陸時には油圧装置によって作動して主翼前端からせり出し、着陸後に元の位置に格納している。
 事故調は燃料タンクが損傷した経緯について、〈1〉ボルトが何らかの原因で脱落〈2〉着陸後、スラットが収納される際にボルトが燃料タンク壁面に挟まる〈3〉ボルトが押し込まれ壁面を貫通――の順で発生した可能性があるとみている。ボルトがいつ脱落したかについては特定できていない。

 国交省によると、類似事例は国内ではないが、海外では2例報告があり、うち1件では実際に燃料漏れが起きていた。米ボーイング社が2005年12月、航空各社に点検を行うよう呼びかけている。

 事故調は23日の検証で燃料タンク内部を調べた結果、ボルトが燃料タンクの壁面に突き刺さっているのが見つかった。事故機の検証は24日以降も続けられ、整備士が燃料漏れを目撃した右主翼のパイロン周辺を含め、燃料管や燃料ポンプなどに異常がなかったか調査を進める方針。