写真とアートと | ゾンビは走っちゃダメ!

写真とアートと

 1月2日は東京都写真美術館が全館無料。3つの展覧会を巡って、さらに無料で上映される『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』も観てくる。
映画を撮ったり撮らなかったり-いつか見た風景
 「北井一夫 いつか見た風景」では学生運動や成田抗争、日本国内あちこちの市民生活など、60年代から現代までが被写体。抗争といっても事件的な写真ではなく、部屋の隅に置かれたヘルメットとか小屋で休憩する成田の地元の人たちとか、「普通は撮らないよ」という所にカメラを向けている。もちろんフィルムカメラの時代。誰も撮りそうにないものを撮ってるところがすごい。
 一方、現代はデジタルカメラの時代。誰でもいつでも何でも写真を撮りまくる。そして後処理もパソコンで簡単。それはそれで、表現としては難しい時代なのかな。他の展覧会にあった現代写真家の展示のいくつかは「まぁ、カメラを持ってたら撮るかな」という印象を受けてしまう。「これぐらいの加工は自分でもできるかな」と思えてしまう。
映画を撮ったり撮らなかったり-ハーブ&ドロシー
 『ハーブ&ドロシー』は、郵便局員のハーブと図書館司書のドロシーのヴォーゲル夫妻が自分たちに買える範囲で現代アートを集めていたら、とうとうナショナルギャラリーに寄贈するまでのコレクションになってしまいました、というドキュメンタリー。定収入がある人なら誰でもやろうと思えばできることなはずだが。
 夫婦の1LDKのアパートからナショナルギャラリーに寄贈された作品の量は、引っ越し用の大型トラックで5台分。ナショナルギャラリーが謝礼をあげたら、夫婦はまた新たに現代アートを買い集め始めた。やっぱり誰にもできない偉業だ。
 結局、ヴォーゲル夫妻のコレクションはナショナルギャラリーに収容し切れず、全米各地50の美術館に広く寄贈されることになりました、という続編が3月に公開です。
http://www.herbanddorothy.com/jp/