ドラマと歌のテーマは「愛」 DREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はもう1本。DREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE」(1995年リリース) です。



1992年から急速に勢いを伸ばしてきたドリカム。初のレギュラー番組となった「うれしたのし大好き」(フジテレビ) の主題歌となった「決戦は金曜日」が初のミリオンセラーとなったのを皮切りに、NHK連続テレビ小説「ひらり」の主題歌となった「晴れたらいいね」や「WINTER SONG」、「すき」「サンキュ.」などといった大ヒット作を連発し、空前の「ドリカムブーム」を迎えます。さらに「WHEREVER YOU ARE」では、ベース担当の中村正人さんがかねてから敬愛するミュージシャン、アース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire) のメインボーカルであるモーリス・ホワイト(Maurice White) をゲストボーカルに迎えるなど、かなり乗りにのった時期でもありました。(同時にエンジニアや共同プロデューサーにイギリスのプロデューサー、マイク・ペラ(Make Pela) を迎えたり、全英語歌詞にするなど、後の全米デビューに向けた布石でもありました)

また、中村さんはソロ活動の一環で、テレビドラマなどの劇伴作曲も手掛けるようになり、前述の「ひらり」や「長男の嫁」(TBS) など、ドリカムが主題歌で手掛ける作品に、劇伴を制作していました。後にサウンドトラックにする際も、かなりの拘りを持って制作しており、通常用いられる「サウンドトラック」という名称を嫌い、「ドラマ・トラックス」という名称を用いました。これは「劇中音楽を収録したCD自体が一つのドラマを構成している」という拘りから名付けたものだそうです。

そして1995年、人気のピークに制作されたのがこの「LOVE LOVE LOVE」でした。

この曲は豊川悦司さん・常盤貴子さん主演のTBS系ドラマ「愛していると言ってくれ」の主題歌として起用されました。


「愛していると言ってくれ」のワンシーン。

このドラマは、豊川悦司さん演じる新進気鋭の画家・榊晃次と、常盤貴子さん演じるアルバイトしながら劇団で演技の勉強をする女優の卵・水野紘子によるラブストーリーです。榊は病気によって聴覚障害者となっており、榊と紘子はその障害を乗り越えて愛を深めていくものとなっています。脚本は北川悦吏子氏によるもので、このドラマはその高い演技力と、完成度の高い脚本・演出もあり大ヒットとなり、その年のドラマの賞を総ナメにした作品となりました。豊川さん・常盤さんともに代表作となっており、その後のキャリアに大きく影響を与えた作品でした。また、当時としては非常にセンシティブでもあった「障害」に触れた作品でしたが、この作品以降、障害者が主要人物となる作品が数多く生まれ、そのきっかけともなった作品でした。

この曲は吉田美和さんが作詞し、中村さんが作曲・編曲を手掛けました。元々この曲は中村さんが20代の時に当時付き合っていた彼女に、バレンタインデーのお返しとして中村さんが作詞・作曲したオリジナル曲「ホワイトデー」という曲が原曲でした。ドラマ主題歌のオファーを受けた際に、中村さんはこの曲が合うと直感し、直ぐさま吉田さんに曲を聴かせたそうです。そして吉田さんはこの曲の歌詞を新たに1から作り直して出来たのがこの曲でした。

実はこの曲はJ-POPでは珍しい構成をしており、また曲の長さも3分24秒と短く、主題(伝えたいこと) がハッキリし、キャッチーなメロディーを簡潔にまとめています。

構成としては、イントロの後はA→A→A→B→Cという構成をしており、最後の「LOVE LOVE…」に続き終わります。よく聴く「ねぇ どうして…」の部分がAメロの役割をしており、これが3回繰り返されることもあり、1番有名なフレーズとして知られることとなっています。

歌詞も「愛していると言ってくれ」の榊の気持ちを綴ったかのような、リンクした歌詞となっています。

ねぇ どうして すっごくすごく好きなこと
ただ伝えたいだけなのに
ルルルルル うまく言えないんだろう…

ただ単に緊張して、相手に好きだと伝えられないもどかしい気持ちを歌っていますが、ドラマの榊は聴覚障害者。ひとつ口を動かすだけでも難しいのに、すごく好きなことを伝えるのはとても難しいのでしょう。伝えたいけど伝えられない、別のもどかしさも綴られています。

ねぇ せめて 夢で会いたいと願う
夜に限って いちども
ルルルルル 出てきてはくれないね

現実では言えないなら、せめてもの夢で「すごく好きだよ」と言いたい、だから夢に出てくれないかな、と思うも、夢に出てきてくれません。これもまたもどかしいですね。

ねぇ どうして すごく愛してる人に
愛してると言うだけで
ルルルルル 涙が出ちゃうんだろう…

「好き」から「愛してる」というより大きい感情を持った時、精一杯気持ちを込めて相手に言うだけで、その気持ちが昂ぶって涙を流す自分。想いを込めて伝える難しさがまたもどかしいですね。

ふたり 出会った日が 少しずつ思い出になっても
愛してる 愛してる ルルルルルル

出会った時から恋心を抱き、時の流れに乗ってその感情が徐々に大きくなっていくにつれ、大切な存在になっていきます。

ねぇ どうして 涙が出ちゃうんだろう…
涙が出ちゃうんだろう…

それだけ大切な存在になっていた相手のことを思うあまりに、涙が自然と出てしまうのです。伝えたくても伝えられない、夢に出てきてほしいのに出てこない、対面しても気持ちの昂りで涙が出てしまう。全ての答えが最後の「涙」に詰まっていたのです。

ポップスながらオーケストラを使用したり、2分弱までドラム・ベースが出てこなかったり、メインがチェンバロだったりと、中村さんのアレンジは当時としては斬新な構成となっていますが、チェンバロの音がどこか心に秘めた寂しさを表現しているような気がします。このチェンバロとピアノはキーボーディストの大谷幸さんが演奏しており、当時メンバーの西川隆宏さんによるものではありません。西川さんはマニピュレーターとして、シンセサイザー系の演奏をしています。ベースとプログラミングは中村さんで、ストリングスはコンピューターによるものとなっています。ドラムは濱田尚哉さんによるものです。ラストのマーチング・ドラムは吉田さん・西川さん・濱田さんの3人で重ねた音となっています。最後の「LOVE LOVE 愛を叫ぼう 愛を呼ぼう」は、中村さんと西川さんもコーラスに参加しています。

この曲はドラマの主題歌となったこともあり、250万枚近く売り上げ、ドリカムのシングルで最大の売り上げとなっています。名実ともにドリカムの代表作、普通の愛を歌ったものではない、更に深い愛を歌った曲です。