憧れ、そして唯一無二の融合。吉田拓郎(中島みゆき) 「永遠の嘘をついてくれ」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は吉田拓郎(中島みゆき) 「永遠の嘘をついてくれ」(吉田拓郎版は1995年リリース、アルバム『Long time no see』収録。中島みゆき版は1996年リリース、アルバム『パラダイス・カフェ』収録) です。






中島みゆきさんは、デビュー前にとあるラジオからかかってきた吉田拓郎さんの歌に衝撃を受けたといい、以後しばらく拓郎さんの追っかけをしていたことはファンの間ではよく知られており、拓郎さんの楽屋に出入りしたこともありました。拓郎さんがNHK-FMでパーソナリティーを務めた1980年の特番「拓郎105分」に、松任谷由実さん、小田和正さん、桑田佳祐さんがゲスト出演するなど、現在からするとかなり豪華なメンバーが出演していましたが、みゆきさんも拓郎さんを讃えるコメントをこの番組に贈っていました。

一方の拓郎さんも、みゆきさんのソングライティングや歌声を高く評価しており、みゆきさんの代表曲「ファイト!」をコンサートでカバーするなど気に入っていました。「コンサートのバックでギターを弾かせてくれ」と発するほど、尊敬の念を抱いており、互いに尊敬し合う仲でした。

そんな中で1995年、拓郎さんがアルバム『Long time no see』制作中に、作曲が不調に陥ってしまい、満足に曲が作れなかった時に、みゆきさんを会食に誘い、曲提供を直々にオファーします。歌詞こそ多くの作詞家が拓郎さんの曲に提供していますが、作詞・作曲両方を他者に委ねたのは、拓郎作品で唯一ともいえる出来事でした。拓郎さんは「夢の無い遺書のような曲を」という注文しましたが、みゆきさんが「拓郎最後の作品にならないように」という条件下で引き受け、そして拓郎さんに提供したのがこの「永遠の嘘をついてくれ」でした。

この曲はみゆきさんが作詞・作曲しつつも、Aメロは吉田拓郎作品によく見られる「拓郎節」を細かに再現するなど、元々追っかけしたことのあるみゆきさんならではのリスペクトを入れ込んだ作品となっています。

そして、この曲でよく言われるのは、「非常に難解な歌詞」ということでしょう。みゆきさんはあくまで拓郎さんへの尊敬から、叱咤の気持ちを込めたもので、「心を揺さぶられてきたのに、その歌が嘘だと言わないでくれ。嘘ならばいっそ嘘で構わないから、ならばそのまま永遠に嘘ということにしてくれ」という意味合いで作られたものだそうです。今回は歌詞を敢えて乗せません。これを聴いた一人一人が、聴いて思ったことをそのまま心に秘めていて欲しいと思います。

みゆきさんがリスペクトする拓郎さんへ込めた、憧れから生まれた曲。両者のファンで無くても一聴の価値はあります。



みゆきさん単独のバージョンはYouTubeに出ていませんので、載せられませんが、2006年に静岡・掛川市で開催された「吉田拓郎 & かぐや姫 Concert in つま恋 2006」という拓郎さんとかぐや姫のコンサートで、この曲を披露した際、シークレットゲストでこの曲1曲だけの為に、みゆきさんが出演し、拓郎さんとデュエットをしました。非常に貴重な歌唱シーンがYouTubeに出ていますので、こちらも載せておきます。ちなみにこの時のメンバーは、かなり豪華な演奏メンバーで、指揮をしているのはみゆきさんの曲を長年編曲・共同プロデュースしている瀬尾一三さんで、拓郎さんとも繋がりがあります。ドラムは島村英二さん、ベースは富倉安生さん、キーボードはエルトン永田さんと佐藤準さん、ギターは古川望さんと土方隆行さんです。動画でみゆきさんが最後ハイタッチしている女性は、みゆきさんのレコーディング・ライブに長年参加している、B.B.クィーンズの坪倉唯子さんです。