過去を振り返って現在。岡村孝子「天晴な青空」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は岡村孝子「天晴な青空」(2002年リリース、ベスト・アルバム『DO MY BEST』収録、同年シングルカット) です。




2002年に岡村孝子さんは、デュオ「あみん」でデビューしてから20年を迎えました。それまでの音楽活動の総括を含めて制作されたのが、ベスト・アルバム『DO MY BEST』でした。


ベスト・アルバム『DO MY BEST』

それまでの1985年からのソロ活動のキャリアでは、オリジナル・アルバムを1996年までほぼ1年に1枚のペースでリリースを行ってきていました。加えて、「セレクション・アルバム」と呼ばれる、概ねオリジナル・アルバム3枚から選出された曲を新たなミックスで収録された、半ば「ベスト・アルバム」に近い形態のアルバムをリリースしてきました。セレクション・アルバムは『After Tone』というタイトルでシリーズ化されており、現在は2014年の『After Tone Ⅵ』までリリースされています。

そういったセレクション・アルバムは発売されていましたが、『DO MY BEST』は、期間を一切問わず、選定に一切の縛りが無い、孝子さん初の純粋なオールタイム・ベスト・アルバムとして制作されました。孝子さんが選曲・監修を行っており、このベストには、「岡村孝子」名義の作品で初めて「あみん」時代の曲(「待つわ」「琥珀色の想い出」) が収録されました。そんなベスト・アルバムのもう一つの目玉として収録されたのが、この「天晴な青空」です。

この曲はTBS系情報バラエティ番組「噂の! 東京マガジン」のエンディング・テーマに起用されました。

『DO MY BEST』の中で、唯一新曲として制作されたのが「天晴な青空」で、孝子さんが書き下ろしたナンバーとなります。そして、歌手活動20周年を記念した曲ともあり、何が自分にとって一番の記念になるのかを考えたところ、「あみん」のパートナーとなる加藤晴子さんのコーラスであると思い、加藤さんに孝子さんが自ら電話で交渉し、加藤さんが快諾して参加に至りました。


岡村孝子さん(左)と加藤晴子さん(右)

加藤さんは「あみん」の活動を休止した1983年から芸能の表舞台に立つことは一切無く、その後結婚・出産を経て、2002年当時は主婦として生活していました。しかし、孝子さんと加藤さんはプライベートでも交友が続いていました。加藤さんの娘さんは母親がかつて芸能活動していたことは知らなかったそうで、孝子さんからの電話を取り次いだ際も、相手が著名なシンガー・ソングライターの「岡村孝子」であることは解らなかったそうです。

そんな加藤さん、Aメロとサビを中心にこの曲のハーモニーを歌っており、休止から19年経ても変わらぬ綺麗なハモリを披露しています。

アレンジは「あみん」時代から20年間、孝子さんの曲をアレンジしてきたアレンジャーの萩田光雄さんが手掛けています。4つ打ちの明るいポップスに仕上がっており、そこにビートを刻むエレクトリック・ギターやきらびやかなピアノが入った、瑞々しいポップスとなっています。

歌詞はこれまでの道のりを振り返ったものとなっています。

「大好き」をいくつも 探してたどり着いたら 今日という奇跡に出逢えた

それは孝子さんが「大好き」なさだまさしさんの曲だったり、色々な「大好き」なものに巡り逢えたことで、その巡り合わせから、現在の「私」に繋がってきた、と述べています。

平坦なだけでは なかった過去(きのう)だけれど そんなにも悪くはなかった

道のりは当然、上手くいったことばかりではありません。あみんでいきなり売れたことでスターの仲間入りと思っても、売り出し方やアルバム作りで揉めたり、加藤さんの芸能界からのフェードアウト、その後のソロ・デビューも直ぐには売れなかったりと、様々な苦難を乗り越えて、ここまで活動してきました。でもそれらも含めて糧となったと思うと、悪くはなかったということなのでしょう。

雨上がりのざわめき 奏でるメロディーは 痛んでいる翼を そっと癒してる

雨上がりのざわめきは、恐らく傷ついた心や身体のことを指したものだと思います。そこに奏でるメロディーは、傷ついた心や身体を癒す効果があるよ、と訴えたものであると思います。ファンの方にすると、それは勿論、孝子さんの音楽であるに違いありません。

一途に走って走った あの日のひたむきさを 今でも忘れない

駆け抜けていった20年は、まさに「山あり 谷あり」でした。それでも走り続ける孝子さんの姿勢は、やはり美しくもカッコいいと思います。そしてデビューの時のひたむきさを、現在でも忘れずに走り続けています。

ゆっくり ゆっくり 瞬間をかみしめて 走り続けている

それでも、出来事の一つ一つは大切に過ごしていこう、そう想いながら孝子さんはまた走り続けるのです。

孝子さんの音楽に対する情熱。過去を振り返りながら現在でもその情熱を忘れずに、活動の歩みを止めずに進めていく姿は、まさにシンガー・ソングライターの鑑だと思います。この曲を聴いて、私はそう感じました。