迷曲?名曲? 西城秀樹「走れ正直者」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は西城秀樹「走れ正直者」(1991年リリース) です。




新御三家」の1人である西城秀樹さんは、「情熱の愛」(1973年)、「激しい恋」(1974年)、「傷だらけのローラ」(1974年) といった熱情の愛を歌った曲で大ヒットを連発し、そのソウルフルな歌唱も相まって、多くのファンを獲得してきました。1979年にはアメリカのディスコグループであるヴィレッジ・ピープルのディスコナンバー「Y.M.C.A.」をポップ歌謡にアレンジした「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」が大ヒットし、幅広い世代に愛される日本を代表する歌手としての地位を確立しました。

そんな中で、1991年に「Rock Your Fire」をリリースしました。この曲では、それまでの熱情的なバラード・歌謡曲路線からストレートなロックンロールとなりました。これは作曲・編曲・プロデュースを担当した織田哲郎さんたっての希望で「秀樹さんにはストレートなロックが似合う」ということで作られた曲でした。そんな秀樹さんの路線変更から1ヶ月、日本国民が衝撃を受ける秀樹さんのシングルが発表されます。それがこの「走れ正直者」です。

この曲はフジテレビ系アニメ「ちびまる子ちゃん」2代目エンディングテーマ、NTT「キャッチホン」のCMソングに起用されました。




何故、「ちびまる子ちゃん」にヒデキなのか?と思う方も居れば、「ちびまる子ちゃん」ファンの方も居て知ってる方も居ると思いますが、「ちびまる子ちゃん」の作者であるさくらももこさんは、秀樹さんの大ファンであり、アニメの作中もまる子の姉・さきこが秀樹さんの大ファンという設定となっています。(アニメの作中でも何度か触れられています) さくらさんがアニメの主題歌を秀樹さんに歌って頂けないか、と秀樹さんの事務所にオファーをかけた所、快諾を得られた事から、この曲の制作が実現しました。

歌詞も、B.B.クィーンズ「おどるポンポコリン」に続いてさくらさんが手掛けました。あくまで「おどるポンポコリン」に続くエンディング曲ということもあり、ナンセンスなもので、単純に明るいですが、サビの歌詞の意味不明さはずば抜けています。

交差点で100円拾ったよ 今すぐコレ交番届けよう

正直者だからこそ、100円拾っても自分のものにせずに、しっかりと交番に届けること。初めの歌詞でこれはなかなか突き抜けていますが、アニメの主題歌ということもあり、子どもたちに「ちゃんと物を拾ったら自分のものにしないでしっかりと届けようね」というある種の教育的なメッセージにも聞こえます。

いつだってオレは正直さ 近所でも評判さ

正直者は近所にも声が広がっているようです。これも正直者で「イイ人」という評価に繋がっていくよというメッセージにも聞こえます。

リンリン ランラン ソーセージ
ハーイハイ ハムじゃない
なんてことは ぜーんぜん 彼女も言ってない
ヘーイヘイ 日本中 知っているさ

サビの意味不明な歌詞ですが、ちゃんとした意味があるのではないか、と言われたりしています。しかし私はただの言葉遊びだったり、語呂が良いから入れたものじゃないか、と思っています。歌詞に意味を持たせ過ぎるのも面白くないですからね。何が面白いってこの歌詞をしっかり本域で歌唱する秀樹さんですからね。レコーディング時も照れずに真面目に熱唱していたそうです。

「Rock Your Fire」に続いて作曲・編曲は織田さんで、これも「おどるポンポコリン」に続いての起用でした。サウンド面ではポップスの中に、裏打ちビートの「スカ」を取り入れた曲でした。裏打ちビートのスカやレゲエといったジャンルは流行らないと言われており、それまでヒット曲はあまりありませんでしたが、織田さんは敢えてポップなサウンドに裏打ちのギターを取り入れて制作した、ある種の挑戦的な作風でした。挑戦的な作風ながらも、スカによるギターの疾走感はまさに「走っている」ような感じで、アレンジも織田さんならではの拘りを感じます。裏打ちのエレクトリック・ギターやシンセサイザーなどは織田さんが演奏しています。

日本中が秀樹さんの意外な作風に驚きながらも、「ちびまる子ちゃん」のエンディングテーマとなったことが大きく、ヒットしました。織田さん曰く「スカ」で初めてヒットした曲だそうです。