大切な君へ。織田哲郎「君の瞳にRainbow」 | よねともが気ままに思うブログ

よねともが気ままに思うブログ

よねともが思うことを綴るブログです。
好きな音楽をただ紹介しています。

本日はもう1本。織田哲郎「君の瞳にRainbow」(1992年リリース) です。




1992年は織田さんにとって快進撃が始まります。近藤房之助さんとデュエットした「BOMBER GIRL」がスマッシュヒットとなると、次にリリースした「いつまでも変わらぬ愛を」がポカリスエットのCMソングとして評判になると、ミリオンセラーに近い売り上げを記録する大ヒットとなりました。それまで世間一般は「おどるポンポコリンを作った人」「TUBEの曲を作った人」のイメージが強かったのですが、ここに来て織田さん本人がシンガー・ソングライターとしても評価されるようになります。シングル2作を収録したアルバム『ENDLESS DREAM』もトップ10内に入るなど、織田さんのシンガー・ソングライターとしての活動は順風満帆でした。

当然ながら1992年は織田さんが提供した楽曲もヒットを連発します。ZARD「眠れない夜を抱いて」、T-BOLAN「サヨナラから始めよう」、大橋純子さん「愛は時を越えて」といった曲がヒットし、そして10月には中山美穂さんがWANDSと組んだ「世界中の誰よりきっと」がダブルミリオンに迫るセールスを記録し、これまでの織田さんの全作品中一番高いセールスを売り上げるシングルとなります。この大きな波は翌年のオリコン年間チャート作曲家部門で史上初の1000万枚超えの新記録を樹立するキッカケとなっていきます。

この「世界中の誰よりきっと」をリリースした1ヶ月後にリリースされたのが、この「君の瞳にRainbow」です。

この曲は水谷豊さん主演の日本テレビ系ドラマ「刑事貴族3」の後期エンディングテーマとして起用されました。


「刑事貴族3」のワンシーン。

「刑事貴族」は水谷豊さん演じる本城慎太郎がその型破りなスタイルで仲間を翻弄させながらも事件を解決させる、人気刑事ドラマシリーズで、3作作られました。今でこそ水谷さんのイメージが強く、代表作とも言える作品ですが、一番最初のシリーズは舘ひろしさんが主演で、その後、舘さんのスケジュールの影響で降板し、主演が郷ひろみさんに交代するという、ドラマの主演が代わるという異例の展開がありました。郷さんも最初のシリーズの最終回まで主演を務め上げて、「2」から水谷さんを主演に据えて「刑事貴族」の有名なイメージが出来上がりました。また、レギュラー出演者には高樹沙耶さんと寺脇康文さんが居たことから、その後のテレビ朝日系ドラマ「相棒」の原型とも指摘されています。(「刑事貴族」で寺脇さんが演じた藤村亮は、本城と組むことも多かった為、ある意味初代「相棒」のコンビはここから始まっています)

そんな刑事ドラマの主題歌でしたが、この曲はあまり本編とはそこまで関係性が無く、一般的なラブソングとも言える作風となっています。

歌詞ですが、こちらも普遍的で抽象的な歌詞となっています。

夢の中でなら うまく言えたのに
こんなにも君だけが 大切だって事

夢の中(ないしは想像)ではスラスラと言える言葉ですが、やはり面と向かって言うとなると、とてもじゃないですが言いにくい言葉です。それだけ彼のドキドキ感がこちらにまで伝わってきます。

はしゃぎ過ぎた夏に 心ゆれても
移りゆく景色に 今はもう泣かないで

楽しかった夏はなんだかんだで一瞬で違う景色に移り変わります。その想い出を思い出して涙を流していますが、「泣かないで」と慰めています。この「夏」は、おそらく彼女の中では目まぐるしくいろんな出来事があり、はしゃいだ夏の楽しい思い出以外にも、切なかったり悲しかったり、そういった出来事も含まれていると思います。

君の瞳にRainbow 昨日の涙さえも いつかいとしさに変えて そっと眠らせて

雨上がりに虹が出るように、一通り泣き終わった彼女の瞳には虹が出ているように見えた彼。涙さえもいつかは愛おしく想えるようにと決心します。

君の瞳にRainbow 雨あがりの夕暮れに 思い出輝いたなら 本当の笑顔見せておくれ

いつか2人で雨上がりに「思い出」=「虹」が輝いたなら、また笑顔を見せてくれと語り掛けています。

「いつまでも変わらぬ愛を」の成功を受けた作風だとも言えますが、少しバラードに寄せた上質なポップスに仕上がっています。「いつまでも変わらぬ愛を」同様、勝田一樹さんのサックス以外のエレクトリックギター・キーボード・リズムプログラミング・タンバリンといった演奏は全て織田さんによるものとなっています。この頃には多重録音が多く、それでいて打ち込みを感じさせない完成度と古さを感じさせない普遍的なサウンドはさすがというべきでしょう。まさに上質なポップスとも言えます。

この曲もヒットとなりました。織田さんの曲は素晴らしい作品ばかりです。そして「大切な君へ」是非贈りたい、そういう曲だと思います。