丁寧に描く。サカナクション「新宝島」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はサカナクション「新宝島」(2015年リリース) です。




シングルリリースは「さよならはエモーション/蓮の花」以来1年ぶりとなるシングルとなりました。この間にベース・草刈愛美さんの妊娠・出産に伴うバンド活動の一時的な縮小(主にライブ活動が出来ない) もあり、1年もの間リリース間隔が空いてしまいました。

この曲は佐藤健さん・神木隆之介さん主演の映画「バクマン。」の主題歌として書き下ろされました。


映画「バクマン。」のワンシーン。

そもそも「バクマン。」は、週刊少年ジャンプに連載されていた大場つぐみさん・小畑健さんによる漫画作品であり、それを大根仁監督によって実写映画化されたものでした。作品は画力に長けた少年と、文才と発想に長けた少年の2人組が、クラスメイトの少女の一言で漫画家を目指し、その後に漫画家として活動していく道のりを描いた作品でした。

映画プロデューサーからの依頼でこの主題歌制作(+劇伴音楽制作) を引き受けたボーカル・ギターの山口一郎さんは、普段読まない漫画を読んで制作にあたったそうです。サカナクションの起用は映画のキャスト起用よりも早く決まっていたそうですが、山口さんは作品作りにかなり苦労することになり、2014年4月からスタートした楽曲制作はなんと1年2ヶ月もの時間を要してようやく完成された作品となりました。歌詞なども基本的には映画や漫画原作に寄せるように作っていることや、前述の草刈さんの休業などといった多くの理由が重なり、結果的に映画自体の完成に影響が出てしまったそうです。山口さんも「史上最大級に苦戦した」と述べています。

タイトルは当初、主人公2人がペンで書く「タッチ」と「ハイタッチ」するシーンから着想を得た「タッチ」というタイトルでしたが、週刊少年ジャンプで連載されていた漫画が原作にも関わらず、週間少年サンデーで連載されていた「同名の漫画」と同一のタイトルになるという指摘を受けてしまいました。そして山口さんは、日本の漫画の原点は誰かと発想し、手塚治虫さんに辿り着いたことから、手塚治虫さんが1947年に発表した長編漫画デビュー作「新宝島」のタイトルを拝借することとなりました。


手塚治虫の長編漫画デビュー作「新宝島」

歌詞は映画・漫画原作に寄せて作られており、「君」を連れてこの先の目標に向かって走っていく様子を描いたものです。

次と その次と その次と線を引き続けた

がむしゃらに、一心不乱に漫画を描き続ける様子です。

次の目的地を描くんだ 宝島

漫画を描き続けた先の目的地は当然、ヒット。そしてメディアミックスです。曲中の「宝島」はそうしたヒットでメディアミックスとなって有名になることを指したものだと思います。

このまま君を連れていくと 丁寧 丁寧 丁寧に描くと
揺れたり震えたりした線で 丁寧 丁寧 丁寧に描くと決めていたよ

サビの「丁寧」を3回使って強調しているのが特徴的な曲ですが、それだけ「君」を一緒の世界に巻き込んでまで漫画家になると決めたのですから、失敗は出来ません。だからこそ余計に「丁寧」に線を描くのでしょう。例えそれがプレッシャーで線が揺れたり震えたりしても、「丁寧」に描くとそう決心しています。

アップ・テンポの部分はtempo158と速く、4つ打ちとなっており、ダンス・ミュージックの要素を入れつつ、ベースの音色はファンクの要素を取り入れ、そして岩寺基晴さんによるギターはロックを意識した音になっています。特徴的な岡崎英美さんによるキーボードのメロディーはレトロ感のあるサウンドとなっています。16ビートの激しめなハイハットながらもタイトなドラミングをする江島啓一さんのドラムはこの曲の魅力の一つでもあります。色んな要素が入った新たなポップスは高く評価されています。

MVは振り付けを取り入れた、昭和感のあるものとなっています。セットやサカナクションによるリズムのノリはフジテレビ系バラエティ「ドリフ大爆笑」のオープニングのオマージュとなっています。

現在ではダウンロードコンテンツ、CD共にヒットし、サカナクションの代表作となっています。また近年では動画サイト上でMAD動画などでこの曲が使われ、さらに人気を博しています。




また、一部のMAD動画も抜粋しておきます。特に私が好きなものを。