私の想い出。竹内まりや「スロー・ラヴ」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日は竹内まりや「スロー・ラヴ」(2006年リリース) です。





2001年にアルバム『Bon Appetit!』、2003年にカバー・アルバム『Longtime Favorites』をリリースして以降、夫でまりやさんのプロデュース・アレンジを手掛ける山下達郎さんが自身のアルバム作り(2005年のアルバム『SONORITE』) を優先していたこともあり、まりやさんの活動はありませんでしたが、達郎さんのアルバム『SONORITE』リリース後は、まりやさんの新曲制作を始めました。2006年には「まりやのアルバムを作っている」と達郎さんから正式にアナウンスがあり、約1年以上を掛けて作られたのが2007年のアルバム『Denim』となりますが、その先行シングルとなったのがこの「スロー・ラヴ」でした。

この曲は、松たか子さん主演のフジテレビ系ドラマ「役者魂!」の挿入歌として使われました。


「役者魂!」のワンシーン。

このドラマは松たか子さん演じる芸能事務所のマネージャー・烏山瞳美が、担当してきた若手俳優のマネージメントから外され、藤田まことさん演じる「シェイクスピアの芝居しかしない」という大御所俳優・本能寺海造の担当となり、本能寺や「本能寺の子ども」を名乗る姉弟に振り回される様子を描きつつ、元々天涯孤独の身だった瞳美、そして家族から距離を置かれていた本能寺は、姉弟との生活を通して家族の意味を学ぶといったヒューマンドラマとなっています。松さんの主演ドラマ、そしてこの時期には「必殺仕事人」(朝日放送) の特番や「はぐれ刑事純情派」(テレビ朝日) 、「京都殺人案内」(テレビ朝日) といったシリーズ物の現代劇や時代劇にしか出なかった藤田まことさんの久々の新作ドラマということもあって話題を集めました。主題歌はまりやさんが作詞・作曲し、松さんが歌った「みんなひとり」で、『Denim』にはまりやさんのセルフカバーも収録されています。

まりやさんの曲の中で初めて、男性視点で歌詞が作られており、友達の女性に恋のアドバイスをしている様を描いています。まりやさんは、身近にありすぎて気がつかない幸せや、本当に大切な人の存在に、ゆっくりでいいから気付いて欲しいという願いを込めて歌詞を作ったそうです。

どうしてそんな風に 急いで生きてるの
僕のアドヴァイスも 上の空さ

生き急ぐ君に見ていて心配になっている僕。心配から「どうして急いで生きてるの?」と問いかけていますが、そんな質問も、アドバイスしている声も、君には届いておらず、何処か上の空になってしまっています。

他人(ひと)と比べながら 幸せ量るから
足りてるのはいつも 虚しさだけ

生き急ぐ理由は、身近にいる親しい友人たちとどちらが早く、より幸せになるかを競っているからだと指摘しています。だから、最後には虚しさだけが残り、結果的には幸せに繋がらないよ、と僕は話しています。

Slow down 立ち止まってみて 君が探している 大切なものは
Slow love あまりに近くて 見えていないだけの 青い鳥かもね

僕は君に、「ちょっと立ち止まってみて」と諭し、よく考えてみて、本当に大切なものは実は身近にいるんだよ、と君に話しています。近すぎて恋愛対象として見えてない僕が、実は「大切なもの」だとさりげなくアピールしています。

あせらなくていいさ ゆっくり歩こうよ
本物の夢なら 待ってくれる

人生は長いもの、だからこそあせる必要はないよ、ゆっくり歩みを進めていけばいい、と君に話し、そして「本物の夢」は待ってくれると言っています。この「本物の夢」は君の幸せですが、それは僕という大切な存在はいつでも待っているからね、と暗に示しているのです。

アレンジは達郎さんで、まりやさんの曲調では近年では少なくなっていた、生のアコースティックなサウンドを展開しています。達郎さんはアコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、キーボード、グロッケン、ドラム、パーカッション、プログラミングを一手に担っています。達郎さんのアコースティック・ギターとエレクトリック・ギターの音色が特に良い響きで、間奏のギター・ソロも派手さは無いが美しい音色となっています。『Denim』制作時期は、長年達郎さん・まりやさんの曲にドラムを叩いていたドラマーの青山純さんが、体調不良を理由に泣く泣く交代せざるを得なかった為、次に正規のバックバンドのメンバーとなる小笠原拓海さんまでの間、レコーディングにおいてはさまざまなドラマーが叩くことになりました。(以前に載せた「クリスマスは一緒に」で佐野康夫さんがドラムを担当しているのも、こういった理由があったから) ただ、『Denim』ではいくつかの曲を達郎さんが叩いており、この曲のドラムも達郎さん自身で叩いています。達郎さんのフィルは連打が多いのが特徴ですが、曲の世界観に邪魔しないようになっています。エンディングのエレクトリック・ギターソロは佐橋佳幸さん、ベースはお馴染みの伊藤広規さんで、ピアノは難波弘之さんです。。コーラスは終始、達郎さんによる1人多重コーラスですが、アウトロはまりやさんと達郎さんの2人でコーラス・ワークを形成しています。

この曲は私自身の実体験に重なっている部分があり、この曲を聴くとその時の想い出が蘇ってきます。特に2番の頭の歌詞、

ひとめぼれの恋も たまにはいいけれど
気づいたら好きだったって恋もある

という歌詞には共感しかありません。長く一緒に歩んできた友人に、時が経ってから大切なひとだったって気づいたのですが、その時には既に時遅しで、非常に後悔したものです。重なる部分もあり、私には深く刺さる歌詞です。老若男女、幅広い世代が共感する、普遍的な歌詞とサウンドだと思います。個人的にはまりやさんの曲でもベスト3に入るくらい好きな曲です。