三位一体。NIAGARA TRIANGLE「A面で恋をして」 | よねともが気ままに思うブログ

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本日はNIAGARA TRIANGLE「A面で恋をして」(1981年リリース) です。




NIAGARA TRIANGLEとは大瀧詠一さんが洋楽のアルバム「Teen-age Triangle」をヒントに企画・制作したもので、3人が各々数曲を持ち寄り、各々で制作・レコーディングをして1枚のアルバムに収めるというものでした。『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』は1976年に大瀧さん、山下達郎さん、伊藤銀次さんで作られ発表されましたが、3人ともほぼ無名であったこともありヒットすることはありませんでした。

その後、大瀧さんが1981年3月に『A LONG VACATION』を発表すると、夏にかけて売上を伸ばす空前の大ヒットを飛ばすことになります。そんな中で大瀧さんはシンガー・ソングライターとして『A LONG VACATION』をヒットさせたことに満足し、次は「プロデューサー・大瀧詠一」としてヒットさせることを目標にし、次の仕事に取り掛かったのは松田聖子さんのシングルと新作アルバムの片面の作・編曲制作、そして資生堂のCMソング制作でした。しかし、資生堂のCMソングを「大瀧詠一」として歌い発表することをありきたりで面白さを見出だせなかった大瀧さんは、突如「NIAGARA TRIANGLE」構想を計画。これに白羽の矢が立ったのが当時まだデビューして浅い杉真理さん佐野元春さんでした。当時の新人歌手を集めたコンサートに参加していた杉さんと佐野さんを、ゲストとして登壇した大瀧さんが観客の目の前で「NIAGARA TRIANGLE」への参加を呼び掛けたところ、2人とも二つ返事で「やります!」と快諾。こうして大瀧さん、杉さん、佐野さんによる「NIAGARA TRIANGLE」が動き出し、アルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』の先行シングルとしてリリースされたのがこの「A面で恋をして」でした。


左から杉真理さん、大瀧詠一さん、佐野元春さん。

先述の通り、資生堂のCMソングとして制作されました。しかし、CM自体が出演モデルのスキャンダルがあったことでわずか1週間で放映中止になるまさかの事態が発生し、売上自体はあまり伸びませんでしたが、ナイアガラ・レーベルで発表されたシングルで当時の最高順位を記録するなど、スマッシュ・ヒットとなりました。(「君は天然色」はこの当時シングルとしてのヒットは無く、後に多方面で使われたことで代表曲として認知される) 曲自体の完成度の高さもあり、現在ではナイアガラ作品屈指の名曲として名高く、2020年には原田知世さんがカヴァーして話題になりました。

歌詞は松本隆さんによるもの。タイトルの「A面で恋をして」は曲を作る前に資生堂側から既にキャッチ・コピーとして付いていたもので、このコピーを聞いた大瀧さんは元々乗り気じゃなかったCMソング制作に意欲を燃やすキッカケになったそうです。

大瀧さん自身は売れ線を意識して書いた作品では無いと話していますが、『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』の中では最もポップな作品で、尚且つナイアガラ作品に見られる特徴的なフィル・スペクターサウンド(大瀧さんはバディ・ホリーをイメージしたそう)で作られています。レコーディングもピアノやアコースティック・ギター、パーカッションを重ねた大人数によるレコーディング方式で録音。『A LONG VACATION』で培われた様式を本作でも採用しました。その一方、大瀧さんならではのお遊びもあり、「ウインクのマシンガン」の部分でマシンガンの発砲音のSE、「クラクション鳴らして」でクラクションのSEを入れるなど、ウィットに富んだ曲となっています。

大瀧さんは勿論、若き日の杉さんと佐野さんの奮闘を『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』で聴いて欲しいです。この曲はその第一歩でありながら、キラーチューンとなっています。


※2022年に『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』が発売40年になり、40周年記念盤が作られます。それに合わせた公式のMVです。イラストは漫画家の江口寿史氏によるものです。音はシングル・ミックスです。

※こちらはアルバム・ミックスです。

※自身のLINEのタイムラインの投稿を再掲。