政府が建設業での人手不足対策として外国人労働力を活用する方針である旨が報道されました。建設業の有効求人倍率が極めて高くなっており(2月の建設業の有効求人倍率が3.04倍、建物の躯体造りを担う専門職の有効求人倍率が7.37倍)、6年後のオリンピックを控え平成27年~32年に建設業界で15万人の労働力が不足するためそのうち7万人を外国人でカバーするというものです。
1 「公共投資増額による景気刺激の一方での労働力輸入」は「胃薬を呑みながら暴飲暴食する」ような愚策
筆者がおかしいと思うのは、「景気刺激策」として「国民の負担」により国が公共事業費の増額を行った結果としての「人手不足」を、外国人労働力の活用により解消しようとしていることです。「人手不足」であるということは少なくとも建設業においては「労働力の供給過剰問題(=失業)は解消」していて、更にこれを通り越して「仕事(=公共事業)が過剰である」ことを意味し、公共事業による景気刺激・需要創設の効果・必要性はなくなっている筈です。公共事業費は平成24年度当初予算では2.4兆円、平成25年度5.3兆円、平成26年度5.4兆円と増額を続けています。人手不足が生じる程に建設業界の景気が過熱している現在、公的債務がGDPの200%にも上る我が国としては、外国人の活用による労働力供給の増加でなく、公共事業規模縮小・予算節約により「人手不足」に対応することが本来あるべき姿であると考えます。
政府が進めようとしているように外国人労働者の活用により人手不足を解消することは、
「公共事業の増額による景気刺激⇒人手不足⇒人手不足解消のための外国人労働力の輸入⇒失業の増加を予防する為の公共事業の増額・・・・・・・」という循環を通じて公共事業を肥大化させ、国の借金をを雪ダルマ式に膨張させ、将来の日本の財政破綻のリスクを高めることになります。更に、4月5日のエントリでも触れたように、社会に対してリスクの大きい移民受け入れがなし崩し的に行われ、将来の増税に加え、社会のストレスの増大を強いることで、国民の痛みを極めて大きくすることに繋がります。
公共事業の増額は平成24年12月に自民党が政権を奪還してから続いており、その増額は自民党の選挙対策の面も否めません。しかし、公共事業費の「過度な」増額は「移民の受け入れ」に直結するものであり、公共事業の増額を訴える政治家の方々がこれを十分意識しないままに「選挙対策」だけを考えているとしたら我が国の将来にとって極めて危険なことであると思います。
「人手不足対策としての外国人労働力の輸入」の議論が出て来ること自体「公共投資が過多である」ことの証左です。我々日本国民としては、本年度における予算執行の節約・減額補正と、この夏から始まる来年度予算平成の議論における「公共投資の絞り込み」について声を上げることが重要と考えます。
2 関係先への要望
(1)要望先
①首相官邸
ご意見・ご感想(首相官邸に対するご意見・ご要望)https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
②財務省
・財務行政へのご意見・ご要望の受付(予算・決算を選択)https://www2.mof.go.jp/enquete/ja/index.php
・予算執行御意見箱 https://www2.mof.go.jp/enquete/yosan_opinion.html
③国土交通省
・ホットラインステーション https://www.mlit.go.jp/hotline/hotline9999.html
(2)文例
建設業での人手不足を解消するために政府が外国人労働者の活用を検討する旨の報道がされております。しかしながら、これは国民に対する裏切り行為です。国の予算は言うまでもなく国民の税金で賄われるものですが、国民は、国が膨大な借金を抱える中、「景気対策のために必要である」「アベノミクスの第二の矢」「短期的景気対策」という政府からの説明を受けて、将来の増税に繋がる公共事業の増額に納得したのであり、「人手不足」が生じる事態となっているのであれば、直ちに執行予算の節減・減額補正を行う等、税金の節約を図るのが筋です。また、本年度このような「人手不足」という問題が生じている以上、来年度予算編成においても公共事業の減額を図り、「人手不足問題が生じないような予算編成」に努めるべきです。これを行わずに安易に外国人労働者を導入することは政府の怠慢と言わざるを得ません。外国人労働者はその賃金の殆どを海外の家族に送金してしまうために景気対策としての効果は薄れ、多くの外国人が我が国に移民することは社会に大きなストレスを与え、税金に加え将来の国民に更なる負担を強いるものでもあります。公共事業に関し、「本年度予算執行における支出削減と来年度予算の減額」により、「外国人労働者に頼らざるを得ないような超過需要の状態の解消」を強く要望致します。
(関連過去記事)
経済財政諮問会議議論、年間移民20万人の岩田委員の「思い入れ」がそのまま政府の方針になるリスク!
(今回は以上です。適宜更新します)