※今週は手相&人相から脱線して、犬のお話をさせていただいています。
よければ、『伝説の犬(チャチャと花子1)』 から読んでみていただけると嬉しいです。
僕が生まれるちょっと前のお話です。
そして、三重県の山間部の田舎のお話です。
今とは、ペットマナーの事情も違いましたので、
いろいろとお行儀の悪い点は、どうか許してやって下さい。
とはいえどこのお宅でも、飼い犬は室内犬か、屋外なら鎖につながれていましたが、
チャチャは放し飼いでした。
もちろん、大きな犬舎はありましたが、
基本、犬舎に入らず自由に過ごしていました。
そして、周囲の住民の皆様方も、
まったく違和感なくチャチャを受け入れて下さって、
○○さんちのチャチャとして、ごく普通に人間社会に溶け込んでいました。
チャチャは町内では決して走らなかったそうです。
僕が知っている娘の花子も、やっぱり同じでした。
いつもゆっくりと、淑女のように歩いている、という風情だったのを記憶しています。
もちろん、糞害で苦情をいただくようなことは決してありませんでした。
ある日のこと、チャチャの首輪に何かが結びつけてあるのを、
家の者が見つけました。
何だろうとほどいてみると、それは割り箸の袋で、
『あしたはお店がお休みなので、またあさってにきてください』と
子供の字で書いてあったそうです。
それは近所の料亭の割り箸袋でした。
田舎町でしたが、料亭もあれば魚屋さんもお寿司屋さんもありました。
どうやらチャチャは、ちゃんと定休日を心得て、
かつ、ある程度のローテーションで各店を回っては、
おいしいものをいただいていたようでした。
臨時休業する料亭の、小学生のお嬢さんが、
チャチャが明日やってきてはかわいそうと、
伝えるつもりでチャチャ宛に手紙を書いて下さったのです。
チャチャはお嬢さんのアイドルでした。
よそ様の台所口で、そんないただき物をしてみっともないと、
チャチャは大叔父から叱られたようでしたが、
それからもお店の方々は、自由にチャチャを出入りさせて下さっていた、
そんなほのぼのした時代でした。
チャチャの猟犬としてのお話を、
次回させていただきたいと思います。
今日も最後まで読んで下さってありがとうございました。