田舎の祖母は88歳。
腰の痛みを訴えて、伯父が病院に連れていくと、
『腰椎の圧迫骨折』 だったとのことで、
お年寄りには珍しくない話だそうです。
大正15年生まれの祖母は、
以前からあちこちガタのきた体をかかえながらも、
同い年で典型的な亭主関白の、祖父の面倒を見てきました。
周囲に迷惑をかけることを何よりもいやがる
昭和を生き抜いた、辛抱強い日本の女性の、見本みたいな人です。
その祖母が何ヵ月もの安静療法に入ると聞いて、
大丈夫かと心配になってメールをしてみました。
そーなんです。
祖母はメールをするんです。
若いころから難聴気味で、歳と共に家族との会話が途絶えがちになってきたとき、
孤立してはかわいそうと、
母が携帯を買って、メールを教えました。
その時すでに祖母は70台も半ば過ぎでしたが、
難しいとか、できない、なんて、ぜんぜん言いませんでした。
新しいおもちゃをもらった子どものように、
それはもう興味しんしんで、ポチポチと文字盤を押しながら
着実に操作を覚えていきました。
今では絵文字はもちろん、デコメも写メも自由自在で、
メールを始めてから孫との会話が増えたと、喜んでいます。
祖母からは思っていたより元気そうな返信がありました。
みんなよくしてくれて、ありがたいです。
腰が治った時、歩けなくなっているといけないから、
動かしてもいいところは動かして、
ボケてしまってはいけないから、
読みたかった本もいっぱい読んで、
泣きたいくらい痛いのは辛抱します。
と、
書いてありました。(祖母は読書魔でもあります。)
88歳にとって、半年~1年の治療とリハビリは
気力の萎えそうな時間に違いありません。
以前より活発に動けるようになるとも思えません。
けれども、
88歳は89歳からの先の日々を、
決してあきらめていないと知って、嬉しくなりました。
生かされてある限り、
明日は今日よりいい日にしたいという
謙虚だけれど前向きな、強い魂。
僕が毎日伝えようとしている思いとおんなじ。
でも、その百の言葉に勝る、祖母の姿勢の説得力。
いいぞ、ばあちゃん!
すごいぞ、ばあちゃん!!
思わずガッツポーズが出てました。