運命の人って何だろう…⑪





前回はAさんが離婚を決意し、その日にB氏にメールを送ったところで終わりました。その後についてお話していきましょう。



①他者と比較してしまう心の闇との戦い


AさんはB氏から初めてもらった意味深メールからちょうど1年後、七夕の日に夫に離婚を切り出しました。


と同時に、B氏にメールも送りました。


「最後まで背中を押してくれて、ありがとう」


そう伝えたのです。B氏が家を手放し、引っ越しをしたことで彼女はもう2度と彼に会えないかもしれないと思ったからです。




1年前の七夕の日。彼が出逢いから5年目にして初めて送ってきてくれたメールに、彼女は少し希望を抱いていました。


これから少しずつ連絡がとれるようになるのかも…と。当時はまさか、彼が引っ越すことになるなんて考えもしていませんでした。


でも、ここから何かが変わっていく…


そんな気がしていました。しかし1週間、1ヶ月、半年…が過ぎても連絡は来ませんでした。そんな中で発覚した10ヶ月目の彼の引っ越し…。やがて1年が経つ頃、彼女は過去の出来事を思い出しては自己卑下をしていました。



それは当時、Aさんが親しくしていた同僚から聞いた話でした。その同僚はB氏とも仲が良く、彼も信頼をおいて心を許していました。


なので仕事の合間に、恋愛話や家族の事をよく話していたそうです。それは時に奥様との結婚までの経緯を教えてもらうような事もあったそうです。


彼は同僚に「1年間奥さんの事、放ったらかしにしてたんだよね…」と会うことを止めていた交際期間があったと教えてくれたそうです。


それを聞いた同僚は「1年間もよく待っててくれましたね!!」と驚いたそうです。当時同僚は、なかなか結婚してくれない恋人と別れた直後でした。


別れた理由を「結婚してくれそうになかったから、別れたんです。」というと、B氏は「そりゃダメだ!」と共感してくれたそうです。



Aさんはそれを同僚から聞いて思いました。

「奥様が1年間放ったらかしにされても待っていたなら、私は1年でも5年でも10年でも待ちましょう!」と…長期戦を覚悟したそうです。


彼と奥様が1年間、サイレントであった理由は分かりません。しかし音信不通から1年後には再会して、結婚して子供をつくり、家を買いました。


2人は復縁したのです。


それはどちらからのアクションだったかは、分かりません。


ですが、彼女は何となく感じたそうです。


「彼から動いた」


と。あんな美人の奥様。1年も放ったらかしにしておいたら、他の男に取られてしまう。それに彼も会いたくて仕方が無かったのだろう…とさえ思えたからだそうです。


職場に奥様を連れて来ては、奥様や子供のことを誇らしげに披露していたのですから…


「それに比べて私は…」


そう思うと辛くなるのでした。


「奥様は美人だから、待っていても彼から動く。でも自分は、待っていたらどんどん影の存在になっていく…彼と茶飲み友達にすらなれない…だから私が動くしかない!!」


そう思って彼女は今までずっと、自ら動いてきたのです。


でも…動けば動くほどに、彼は遠のいていくのでした。


「奥様の時は1年で再会できた。でも自分は…1年経っても連絡すら来なかった…やっぱり私は…愛されていなかったんだ…愛されてると…勘違いしていたんだ…」


そう思うのでした。



Aさんと奥様は共にサイレント期間(B氏と会えない期間)がありました。彼に放置されていた事実は同じです。とはいえ、2人がB氏と出会ったときの状況は、大きく違います。


結婚に興味がなかった…と言うB氏と奥様は互いにフリーだったと思われます。



余談ですが…結婚に興味がない人の大半は、モテる場合が多いです。特定の人がいなくても、淋しい思いをしないので結婚する必要を感じません。もしくは、結婚に対するネガティブな意識が強いかのどちらかです。



それに対してAさんとB氏が出会った時は、互いにパートナーと子供がいました。さらに奥様はちょうど2人目を妊娠中、もしくは流産したばかりで、彼は奥様を裏切れない状況下にありました。


普通に考えて、世間の常識上許されない恋だったのですから…恋愛としての関係性は進展することはないと彼女自身も充分理解していました。


ならどんな関係性を結べるか?

それは仲の良い職場仲間でも構わないという結論でした。でも、それすら叶いませんでした。


何故こんなに彼にこだわるのか?それは彼女自身も分かりません。ただ確かなのは、彼女の人生に必要な人だと思ったからです。



そんな彼と、どうしてもこの七夕の日に連絡を取り合い、サイレント期間を終わらせご縁を結びたいと思っていました。


でも…

天はそれを許可しませんでした。


Aさんは、やはり孤独な戦いに向き合わされるのでした。


彼女はどうしようもなく泣きたくなった時は、彼に会い行っていました。彼がまとう空気感に包まれるだけで、心が安定するからでした。


しかしそれでは彼女の成長は起きません。


『彼のサポートがあったから離婚できました!』ではなく『彼がどのような状況かも分からないし何のサポートもないけど、自分の意思で離婚しました!』そう胸を張って言い切れるように促されるのでした。


もしも彼女がツインレイであれば「精神的自立」という課題をクリアしないといけないからです。




②自立への道


彼女は精神的自立を天に促され、とことんエゴや孤独と向き合わされていきました。


それはまさに「死を覚悟」するような辛さでした。ある程度の魂の成長がなされていないと、耐えられない程の苦しみだったと思います。


彼女は過去の辛い出来事のお陰で、芯の強さがありました。したがって、「精神的自立」「経済的自立」も果たしていく事ができました。



彼女は離婚を決意してから、8ヶ月という早さで無事に離婚することができました。


あっという間の事でした…


しかも彼女の離婚は、とても穏やかでした。


夫(C氏)との離婚話はトントン拍子で進み、お金等の様々な事に関しても喧嘩になるようなことは全くありませんでした。


それどころか、離婚が決まってからの方が、まともに会話ができるようになったり、互いを気遣い合ったり…ようやく本当の家族になれたような感じさえしたそうです。


ですが、彼女には別の苦しみが襲ってきます。


それが謎の体調不良でした。


それはある時突然やってきた「めまい」から始まりました。


めまいは日に日に強くなり、大好きだった車の運転が怖くなり、車で移動することができなくなりました。


そして…彼女の離婚後の新居を探し始める頃には、まともに外を歩けなくなる程になっていました。誰かや何かにつかまらないと、まっすぐ歩けないのです。


C氏との関係性はうまくいっているのに、どんどんと体調不良になっていくのでした。彼女は家での仕事をしていたので、何とか体調が良い時に済ませたのですが…それ以外の時はずっと横になっているような状態にまでなりました。


彼女はC氏に言いました。


「めまいがひどくて、まともに歩けなくなってしまって…」


するとC氏は言いました。


「何でそんなことになってしまったんだ…」


彼女はその言葉を聞いて思いました。『あぁ…やっぱりこの人とはやっていけない…』と。


C氏の病気がきっかけで始まった、彼女の心の病。発症した当時、まともに歩けない状態で夫の退院に立ち会った時、同じようなことを言われたのを思い出しました。


「何してんの…先に行くわ…」


あの日と何も変わっていませんでした。あの日から10年程経ったのに。


C氏にも病の事は伝えていましたが、出てきた言葉は労いの気持ち1つもありませんでした。


謝ってほしかったのではありません。


「辛いね。分かるよ。」


と一言でも共感してほしかったのです。


C氏は続けて言いました。

「俺もめまいがひどくて、通勤の合間に何度も吐いたことがある。薬のせいで、自殺すら考えたときもあったんだ…(涙)」


泣き声になったC氏に同情の気持ちすら彼女は沸いてきませんでした。『自分の事には涙が出てくるんだ…』と思いました。


離婚の話し合い中に、C氏は一滴も涙を流さなかったのに、この時だけは泣いたのでした。


「この人との未来は見えない…」


少し分かり合えていたように感じていた彼女が、C氏との完全な決別を願った瞬間でした。



人生において、スムーズに物事が動くとき、それは正しい道を歩んでいる時だったりします。


ということは、逆もあるということです。スムーズに行かないことは、導かれていない道であるとも言えます。


誰もがその経験をしているのではないでしょうか…




③新たな人生の始まり


離婚と同時に彼女は、遠方に引っ越しました。

新たな第2の人生のスタートでした。

それは彼女がずっと願っていた夢の実現でもありました。


その地は…彼の家があると職場の人が言っていた○○○でした。


彼女は何の根拠もないその地に移り住むことを決めたのです。


「彼はいないかもしれない…でももう…何処にいるかも全くわからないなら、最後に彼が残した足跡の地に行こう。そうすれば新天地でも、少しはいつか会える!という希望を持ちながら生きていける…」


そう思ったのです。


彼女は子供と共に、その地に移り住みはじめました。心配していた子供の転校も、意外な程に順調でした。


子供は新しい制服を喜び、直ぐに気の合う友達ができ、環境に馴染んでいきました。1年前の中学受験の不合格は、天がこの学校に導くためだったのだとさえ感じさせました。


Aさん自身も、この土地が日に日に好きになっていきました。自分の事を知っている人が一人もいないこの街に、自由を感じていました。


さらにこの街の人との相性もよく、まるで昔から住んでいたかのようにすぐに馴染むことができました。環境や気候も彼女にとって快適でした。何1つ不満や心配を感じることはありませんでした。


「やっぱり私はこの地に導かれていたんだと思う。」


とさえ思いました。

唯一気がかりなのは、体調面においてでした。

環境が変われば、C氏と離れられれば良くなるはずでした。ですが引っ越しから1ヶ月が経っても、寝たきりの状態は続きました。


そんなある日、彼女に久し振りにメッセージが降りてきました。



彼が気にしている…連絡せよ…



彼女はもう2度と彼にメールをするつもりはありませんでした。

ですが、彼が自分からの連絡を待っているように感じたのでした。そう思いたかったのかもしれません。


彼女は離婚してから初めて彼に連絡をすることにしました。



独り立ちしました。



そう伝え、引っ越し先の郵便番号を送りました。自分の事を探し、会いに来てくれることを願いながら…



返信は…ありませんでした…



Aさんは自分が離婚すれば、彼との関係性に変化があると信じていました。



しかし、何も変わりませんでした…



私達は自分を変えることはできます。


ですが…


他者を変えることはできません。


これは当然の権利です。

人は誰かのためではなく、自分が幸せになるために生まれてくるからです。


何を選ぶかは、本人が決めてよいのです。

そこに誰かの意図が介入すると、人はたちまち道を誤り望まぬ未来を引き寄せます。


全ては必然なのです。


彼女が離婚したのに、彼とのご縁が繋がれなかったとしても、誰も悪くありません。


元夫とのご縁を切るために、必要な存在であったことに違いはありません。

また、もしかしたら彼女には別の人とのご縁が用意されているかもしれないのです。

正解はまだ見えていなくても、幸せになるために人は導かれているのです。



以前のブログで、「幸福の黄色いハンカチ」のお話をしました。彼女はそれを持ち出し、こう筆者に話しました。


「そういえば…彼はよくお弁当を花柄の黄色いハンカチに包んで持ってきてた。彼のそばにいつも奥様はいる。彼の体は奥様の手料理でできている。あの人が帰っていく場所は、奥様の所しかないんだと思う…」


それを聞いて、筆者は少し切なくなりました。

と同時に彼女の覚悟を感じました。


彼はいったいどちらの黄色いハンカチの元へ「ただいま」と帰っていくのでしょうか?

Aさんが彼に「お帰りなさい」と伝えられる日が来ることを、筆者は願ってやみません。




④人の助けを借りるということ


彼女は今まで様々な事に対して、孤独に戦ってきました。すべての責任を自分で果たそうと頑張ってきたのです。


しかしそれが原因となり、精神を病んでいきました。


この地球上には沢山の人が生きています。


それぞれに得意なことがあり、役割を持っています。自分ができないことは、他人に任せても大丈夫なのです。


彼女はそれを理解していながらも、人に頼むことができずに一人で頑張ってきました。


ですが自分が本当に動けなくなって、他人の力を借りるしかなくなった時、ようやく人に甘えるということができたのでした。


離婚という大きな決断をした時、かなりの精神的負担があったはずです。ですがその時にちゃんとサポートしてくれる人が沢山いたことで彼女は離婚ができたのです。


孤独…だと思っていたけど、天は彼女を決して見捨てる事はしなかったのです。


人は誰しも孤独ではありません。

誰もが天に愛されて生かされていると彼女は悟りました。


彼女も、元夫のC氏も、B氏も、その奥様も、決して孤独ではないのです。


互いが互いの幸せのために、歩みたい道を進み始めただけなのです。全ては幸せになるために起こっています。




⑤フリーになっても…


新天地での生活は快適でした。

でもなぜか心は晴れませんでした。

なぜなら体調的に動けないが為に、彼との過去の思い出が甦ってくるからです。



彼女はある日彼の口癖を思い出しました。

「めんどくせ~」

何かトラブルが起こると彼はよくこうつぶやいていました。


めんどくさいと言う人の多くは、賢い人が多いです。何故なら単純に面倒だと言う場合もあるのですが、賢い人は起きてきた出来事に対して、先の先が瞬時に見えてしまうからです。


つまり、自分がこれからやらなくてはならない事がどれだけ大変で無駄な事なのかがみえてしまうので「めんどくせ~」と言ってしまうのです。


彼女は、そんな彼の性格がよく分かっていました。それは二人の関係性においても言えることでした。関係性を進めると言うことは、まさに「めんどくせ~」事の積み重ねです。


特にふたりが背負っている物は重いです。


「私のために、わざわざそのめんどくさい事を彼がしてくれるだろうか?」


そう思いました。


もしも2人が結ばれる為に行動をするとしたら、沢山の課題がやってきます。


お金の事、子供の事、家の事、親の事、仕事の事、法的な事…


それぞれの課題には精神的ストレスや、様々な手続きなどがあり、本当に「めんどくさい 」ことの連続なのです。


それを彼が覚悟して動き出す程の情熱を、自分が与えられる存在であるという自信はありませんでした。


長らく会えていない事で、彼を信じる力が弱まってしまったのかもしれません。


面倒な事が嫌いな彼が、もしもそれでも動くとしたら、おそらく相当な愛がそこに存在するのだろう…と彼女は思いました。


「私がそこまでの愛を彼に向けてもらえるのだろうか…?それだけの価値が自分にはあるのだろうか?」


彼女の頭に浮かんだ答えは…


……。


でした。


天はおそらくAさんに、彼への愛を貫くことが出来るかどうかを試しているのだと思います。


彼女はフリーになり、もう何のしがらみもなく恋愛を楽しめるのに、気持ちはネガティブに引っ張られていくのでした。



Aさんは人に希望を与える手助けをする仕事をしています。しかし、そんなAさんでも自分自身の事となると、ここまでネガティブな感情を感じる時もあるのです。


人は完璧ではありません。


一見、大成しているような人物だったとしても、才能があるがゆえの苦しみがある場合もあるのです。


人は一人では生きられません。


もちろん、一人でも生きられる強さを身に付けることは大切です。しかし、支え合える人が身近に居ると言うことは、生きる喜びに繋がっていくのだと思います。


彼女には、心を支え合えるパートナーが現れることを願います。




現実は小説よりも奇なり


という言葉があります。

まさにAさんは、物語の主人公のような経験をしたのかもしれません。


彼女には、子供の頃に思い描いていていた夢がありました。大好きだったシンデレラのお話を何度も読み、そして幼い彼女はこう願うのでした。


物語のような素敵な恋がしたい!


と。彼女はB氏と出逢ったことで、望んでいた夢を叶えることができたのだと思います。

やはり彼女の夢を叶える能力は、ものすごい引き寄せ能力だと思わされました。


最後に彼女はこう言いました。



彼との物語は、生涯忘れることはないでしょう…



もしも彼女が本当に夢を引き寄せる力があるとするなら…シンデレラはハッピーエンドを迎えます。彼女にもハッピーエンドがこれからやってくると筆者は信じています。


大切なのは、幸せになると本気で願うことです。強く願えば叶います。創造主は、自分です。


あなたはどんな幸せを創造しますか?



このシリーズはこれが最後になります。ふたりのそれぞれの幸せを祈ります虹

最後までお付き合いありがとうございました!


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 歌詞に登場する女性は「私は私の道を行く」「ねっから陽気にできてるの!」と強がっています。人は素直になれない時もあります。しかし本当の愛を受け取るためには、素直になる必要があります。「強がっている私を引き留めて!」という女の気持ちは、男には伝わりません…愛を受け取れるかどうかは自分次第なのです。