深呼吸をして頭を空っぽにして眠ってみよう。
「昨日も授業をしていたよ。」
よく夫に笑われる。
「なんの授業だった?」
「俺も寝ているからよく覚えてないけど、でっかい声でさ、最後に必ずエヘヘって笑うんだよ。」
私はよく寝言を言う。
時々、自分の声で目が覚めてしまうこともあるくらい大きな声で。
内容のほとんどは、子どもたちに何かを教えている場面で、一番近い記憶は分数の通分を説いていた。
これをポジティブに捉えれば、眠っている時でも子どものことを考えている・・になるのだが、実は、この寝言(大きな声、笑うことも含めて)が、レム睡眠行動障害の軽い症状だと最近知った。手足をバタバタさせる以外、精神科医が挙げた症状に全て当てはまるのだ。
重症化すると、外に飛び出して壁にぶつかる、こぶしや足を振り回す、隣に寝ている人に暴力的な行為をするようになるらしく、重大な脳の病気が隠れていることもあるという。
薄っすらとした不安の中で、加齢、ストレス、疲労、生活の乱れ、過度のアルコールやカフェイン・・
原因と言われるものを自分に照らしてみても、「単なる寝言に過ぎない」と、どれもあまり当てはまらないと思う自分がいた。
「気持ちだけはいつまでも25歳だけど、近くが見えにくいし、よく忘れるし、よくつまづくし。この間、菜箸がないないって探していたら、なぜか、仏壇の花瓶に花と一緒に生けてあって、がっかりしちゃった。」と、迎えつつある老いを笑いながら話してくれた同級生を思い出し、もしかしたら、原因が当てはまらないと思っている自分が一番の原因かもしれないと自身を戒めた。
5年後―現役で子どもたちと関わる仕事をしていたい。遠慮なく自分を表現できるようになりたい。
10年後―ペースを緩やかにして子どもたちと過ごしていたい。ゆっくりと自分を表現していたい。
30年後―仕事から離れ、旅行ができる身体でいたい。
先日、55歳を迎える自分を見つめながら今後の人生の目標を書いてみた。
思いを書き出した紙のいたるところに「子どもたち」と「表現」の文字が光っていた。
まずは、深呼吸をして頭を空っぽにして眠ってみよう。
人生後半の目標が、自分と大切にしてきた子どもたちの中に輝き続けるために。

エッセイをお読みいただき、ありがとうございました。
自分を語ることで、誰かが元気になったり、笑顔になってもらえたりしたら嬉しいな…とか、子どもたちが強く社会を生き抜くために、自分は何ができるのか、何を残せるのかな…と問い続けながら出版を目指しています。