青春のガソリンスタンド(その2) | 毎日釣りのことばかり・・

青春のガソリンスタンド(その2)

「お前もおんなじ大学生なのになあ」
既に所長に昇格されていたFさんがボクにこう言った。

吉祥寺という場所柄、良家の子女の方々がよくこのGSに来られた。
お買い物の前に、BMWやSAABに乗ってこられ、
「これから買い物に行くからWAX掛けといて!」
って、吉祥寺の町に出かける近所の女子大のお嬢様も結構いらした。

「大学生ってのはああいうもんじゃねえのか?」
て言われても、こちらはクルマを磨く側、あちらは磨かせる側。
そして決まってお買い物からお帰りになったお客様は缶コーヒーをお礼にと渡してくれるのだ。
大きな川が両者の間には流れている。

吉祥寺にある有名な釣具店のご子息(今は社長様)も、よくボクらのGSにきていただいた。
いやみのないさわやかな方で、愛車(もちろん外車)を磨かせていただいた。

また、冬にはセントラルヒーティングで暖房されている家(もちろん邸宅)に1トン車のタンクローリーに灯油を詰めて配達に出かけた。
ポリタンを届けるのではなく、各邸宅にある灯油タンクに給油して回るのである。
狭い吉祥寺東町や北町の路地をタンクローリーを運転して、「こんばんは、灯油の給油に参りました」と訪ねるのだ。
冬は寒い、邸宅の中は暖かい。
向こう側と、こちら側の差を明確に感じたものである。

いつかはどこかのGSに乗り付けて、「WAX掛けといて、ちょいと買い物してくっから・・」
とオレも言ってやるぞ!と思ったのは言うまでもない。

で、現在、、、
GSでWAX掛けを頼めるようにはどうにかなれたが、セントラルヒーティングの家にはやはり住めていない・・。