青春のガソリンスタンド(その3) | 毎日釣りのことばかり・・

青春のガソリンスタンド(その3)

GSでのバイトのせいではないが、ボクは大学5年生になった。
卒業研究も4年生の時に終わらせ、落としたわずかな必修科目のためと就職情報を得るためだけに大学へ通っていたので、週一ほど大学へ行けばよいペースだった。

だから、大学5年生の一年間はほとんどこのGSでのバイトで過ごした。
18のころからこのGSで働いていたので(毎日ではないが)、ボクの名前も顔を覚えてくださるお客様もたくさんいらっしゃって、嬉しい思いをした。

就職活動もGSからリクルートスーツに着替えていくことも度々会ったので、励ましてくれるお客様も多かった。
「あなた社員じゃなかったの?」と勘違いされているお客様もいた。

そして就職が決まり、このGSを去るときあるお客様からご祝儀をいただいた。
きちんと祝儀袋に入っていたので、気まぐれなチップという感じではなかった。

このお客様は貿易の会社を営む社長さんで、ボクがバイトを始めたころからのお得意様だ。
多くのお客様の中でもこの社長は印象深い。

最初にこの社長がボクがバイトするGSに来られた時はチェイサー(トヨタ)に乗られていた。
その洗車やWAXがけをやらされた(やらせていただいた)ものである。
ドアモールに水滴が残ってるだの、ここにWAXの拭き残しがあるだの、厳しいお客様だった。
いやな客3本指にこの社長は入っていた。

社長の商売の様子は、乗られているクルマの変化でなんとなくわかった。
チェイサーからAUDI(新車)になり、もうかってるんだなあと思った。
その後、新車のGOLFに変わり、趣味がかわったのかなあ、と思った。
このGOLFのアルミホイールはボクの勧めで社長が買ってくれた。
そうこうするうちに、GOLFが中古のファミリアになってしまった。。。

けど、社長のボクらに対する態度は全く変わらず、クルマのグレードが下がってきてることにも意も介していない。

ボクが就職先に迷っている時、この社長に相談したことがある。
「公務員になるか、民間にいくか」
この命題に悩んでいたわけだが、社長は迷わず「民間に行け」といった。
親も含め他の人たちは「そりゃ公務員がいいよ」って言っていたのに。。

最後は自分の判断で民間企業への就職を決めたが、この社長のスタイル、言葉は今でも覚えている。

結局、バイトを辞め就職をし、それきりお会いすることも、就職祝いをいただいたお礼を改めてすることも出きていないことが悔やまれる。