メトロポリタン・オペラ 「The First Emperor」- ドミンゴ氏が始皇帝。  | My Diary @ New York

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2007年5月~2009年6月までNYで過ごした私の気ままな日記ブログ。

2007-2008年METシーズンも、5月18日(日)、あと1週間で終了。

これまでの人生、「オペラ」どころか、「クラシック音楽」のひとかけらも、存在してなかった私の脳細胞。しかし、今シーズン、生まれて初めてMETに足を踏み入れて・・・・この不思議な世界を知ってしまったー。


そんな記念すべき今シーズンのシメの1週間。

今日は、「The First Emperor」。


中国を代表する作曲家、Tan Dun氏が、作曲し、2006年12月に世界初公演。という演目。

紀元前2世紀に書かれた司馬遷の「史記」をベースに、オペラを作ってしまったこの人たち。紀元前3世紀に生きた人、始皇帝の物語。(ちなみに、英語で始皇帝のことは、「The Emperor Qin」といいます。)


作曲家のTan Dun氏は、「グリーンディスティニー」や「HERO」などの映画音楽を作曲したことでも有名な人。20歳を過ぎて、コロンビア大学の博士課程に留学して学ぶうちに、自分の才能に気付いて、活度を開始したそうですよ。


今日の見どころは、

・ Tan Dun氏自ら指揮をすること。

・ 始皇帝を、あのPlacido Domingo氏が演じること。

・ 衣装を担当したのが日本人デザイナー、ワダ・エミさんということ。(和田勉氏の奥さんなんだって。)



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ストーリーは・・・・・。

中国統一を成し遂げた始皇帝が、従来の音楽から離れた、新鮮で素晴らしい国家の音楽を作曲させようと、若い才能あふれる作曲家を捕え、彼に作曲を命じるのだけど、独裁者・始皇帝に反抗する作曲家は、拒む。「作曲するくらいなら、死んだほうがましだ」。作曲家は、食べ物を一切受けず、自殺を図ろうとするのだけど・・・・。そこで、心配して見守ってるうしに、彼と恋に落ちてしまうのが、始皇帝の娘。

しかし、始皇帝は、将軍に娘を嫁がせる約束をしてたのでした・・・・。娘は、将軍に嫁いだ直後に自殺。作曲家も、後を追って自殺してしまい、始皇帝は悲しみに暮れながら、それでも更なる中国の統一と支配を誓うのであった。

・・・みたいな感じ。


歴史上、初めて中国を統一し、焚書坑儒(儒教の本を焼いて、学者460人を穴埋めにしちゃった)や、万里の長城や始皇帝陵など、すごい土木建築業も行った始皇帝。すごい人。そんな彼の、独裁者の1面、親としての1面など、Humanityな部分にスポットをあてた作品。でした。

いたるところに、中国舞踊のエッセンスが盛り込まれ、アメリカ人の好みそうな「ザ・東洋」な演出。

中国人のオペラ歌手も2,3名出演していましたが、ほとんどが、アメリカ人です。


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そして・・・ドミンゴ氏の演じる始皇帝。存在感、貫禄たっぷり。彼が登場すると、オーラを感じてしまう。

そして、声の力強さが、ダントツ違う。


始皇帝役には・・・・やっぱりこの人でしょう。


ドミンゴ氏と、Tan Dun氏です。


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その他、圧巻だったのは、オーケストラ。

いろんな楽器を取り入れることで有名な、Tan Dun氏。

珍しい形をした楽器たちも並んで・・・そして、人の掛け声(「ハッ」「エイッ」とか)も音として、音楽にすんなり入ってるのです。オケのメンバーが、指揮に合わせて発声してるのだから、びっくり。

これまでのTraditionalな音楽と違った、新鮮を感じました。大迫力だしね。



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最後は、やはり、ドミンゴ氏に対して、ものすごい「ブラボー」の大歓声。鳴りやまぬ拍手。

さすが、世界3大テノールの貫禄ですねー。


そうそう、和田勉氏の奥様、アダ・エミさんのデザインした衣装も、ゴージャス、かつ、色彩は新鮮。素敵でした。日本人デザイナーが、こんなところで活躍してるなんて、すごいですねー。



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METシーズンの終盤を飾るにふさわしい満足な夜。


私にとっての今シーズンは、あと一回。5月16日(金)に、ドニゼッティの「連隊の娘」を観に行って、終了ですー。