５月になるといよいよリーグ戦が開幕する！
一部リーグ五校が２ヶ月にわたり
総当たり戦をして
大学関東一位、いや大学日本一位を決定する
これが大学にとっては最大の目標になるわけだ！
ライトフライ級からミドル級まで
九名出しその勝ち数で勝敗を決める
ボクシングでは珍しい団体戦なのだ！
寮生活をして
チームワークを磨くのもその為だ
試合一週間前
寮の入り口に
皆があつまり、騒々しくなる！
自校と対戦校のメンバー表が張り出されるからだ！
各階級二名ずつ、メンバーに選ばれる！
選ばれた二名はこれから一週間
俺が試合に出るんだと闘志むき出しでがんばる！
選ばれなかった者は農大勝利の為、サポート役に回る！
試合当日、
我々は朝６時頃
寮の前で円陣を組み必勝の気合いをいれて出発する！
朝一
不気味な緑色のジャージを着た
目が血走って、痩せこけた三十人くらいの野郎達が
千歳船橋をゾロゾロと歩く姿は
まさに狂気だった！
ゾンビ映画を思い出した
計量を終え
一安心した我々は
後楽園ホールの近く、 朝陽館という旅館で
試合までの間休息する！
計量後は
まずは飯だ！
農大スープを皆で食う！
農大スープとは試合前日、
サポートメンバーの皆が
巨大寸胴にいろんな食材や思いをぶち込んで
つくる特製スープだ！
見た目は うん○
みたいで最悪だが
味と匂いは最高だ！
前日はこのスープの匂いが寮中にたちこめる！
減量中の自分にとっては嫌がらせ以外何ものでもなかったが
この匂いを嗅ぐことで明日は試合だと
闘争心がわいてくる！
この農大スープをおじやにぶっかけ
にんにくを大量に投入して
食するのだ！
このニンニクも作戦だ！
クリンチをした際、協力なニンニク臭を相手にかますことにより、
精神、スタミナにダメージを与える！
ただ毎回農大スープを食う時
小競り合いが起きる！
スープにはうずらの卵が入っているのだが
皆、俺が俺がと うずらの取り合いになる！
[お前、うずら多すぎじゃね～か？]
[すいません・・・]
人間の器が小さいと思ってはいけない
この世の中、うずらの卵一つで人間関係が崩れる場合もあるのだ！
それくらい男達にとってうずらの卵とは魅力的なのだ！
飯を食った後はいよいよ試合のメンバー発表！
各階級ずつに名前が呼ばれる！
呼ばれなかった者は一生懸命練習して、
減量したのにも関わらず試合には出れない！
悔しさや様々な思いを抑え、大学の勝利の為サポート役に回る！
選ばれた者はその思いを背負い、リングに上がるのだ！
大学一年の初戦
[フライ級清水智信]
と呼ばれた時は
一気に緊張感と責任感が吹き出したのを覚えている！
リーグ戦の一勝は
個人戦と違い重たいのだ！
メンバー発表が終わると試合まで各自
部屋で休息をとり
試合の覚悟を決める！
旅館を出る頃には
死臭漂いゾンビのような面をした者達が
ニンニク臭を帯びた戦士の顔に変わり
後楽園ホールに向かうのだ