私は福岡県の、

まだ北九州市が誕生する前の

若松市の生まれです。

1960年代の

かなり小さい時から英語が好きでした。

物心ついた頃には、

エンジニアだった父が自分で作った

小さな白黒テレビがありました。

そのテレビで、

アメリカで製作された

Raw Hide という西部劇や

Combat という戦争映画を

英語のまま見て(眺めて?)いました。

巻き舌のテーマソングがかっこよくて、

音だけを聞いて、真似して歌っていました。

 

昭和6年生まれの父は

「敵国」アメリカの英語が大好きでした。

父は私が小学校2年の時、

転校先の京都の舞鶴市で、

キリスト教徒でもないのに、

私と弟をカナダ人神父のところに

英語を学ばせに行かせるようになりました。

生徒は弟と私だけ。

英語なんか全くわからないから

神父様がくれるチョコレートだけが

とっても楽しみで

母に連れられしばらく通いました。

 

半年ほどして、神父様は帰国してしまい、

父は今度は地元の港町で唯一だった

おじいさんの通訳さんを見つけてきました。

ところが、

鷲田さんというその通訳さん、

ご高齢すぎて「さしすせそ」の発音が

しゃ・しぃ・しゅ・しぇ・しょ で。orz

8歳の小学生にとっては

申し訳ないけれど、

全く楽しくない先生でした。

 

先生のお宅に通うのが苦痛で仕方がなかった時、

なんと20歳くらいの一人娘のマリコさんが

アメリカから突然帰国されたのです。

このマリコさんの教え方が実に上手で、

私は英語が大好きになりました。

この先生が

その後55年にわたる私の英語の原点です。

 

何を言いたいのか?って?

私は「苦労して」英語を

学んできたと言いたいのです。

帰国子女なので、

周囲からは「苦労せずに

英語喋れるようになってよかったね」と

言われることも多いです。

 

が、違います。

英語を必死で勉強してきたからこそ、

日本人がどうやって

英語を勉強したら良いのかわかるのです。

 

自分も日本人学校から

アメリカンスクールに移るために

ネイティヴの先生にもついていました。

でも結論から言うと、

日本語のように複雑で、

英語とは180度構文も違う日本語で育った大人は

日本語を知らないネイティヴの先生ではダメなんです。

 

日本語と英語はどこがどう違って、

どうやって勉強するべきか?

ネイティヴは当然のことながら

英語を勉強したことがないわけですから、

日本人の勉強法がわかるはずがない。

 

これに私が気づいたのは数年前

50代後半のことです。

 

情けないことに、

若い頃から

「ネイティヴに生まれて来ればよかった」とか、

「あぁ〜このネイティヴより

私の方が頭が良いはずなのに、

私の方が英語が下手だ」とか

ぶちぶちネガティヴに

ずっとずっと考えて来ました。

 

最近になってようやく

私は開き直りました。

私は福岡で生まれた日本人だから

今更ネイティヴには

どうやったってなれない。

もっと言うと、

日本語という大変に繊細な言葉を

母国語として持つ日本人の私たちは

ネイティヴになる必要もないのです。

 

ネイティヴに憧れるのはやめましょう。

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