サルマン・ラシュディ氏が襲われた。

氏の小説『悪魔の詩』は、

中東の熱心なムスリムの激しい反発を受けた。

もう30年も前、

その本を日本語に訳した

筑波大助教授の五十嵐一先生が

大学のエレベーターホールで

刺殺されているのが発見された。

遺体の首には、

左に2カ所、右に1カ所の傷があり、

いずれも頸動脈を切断するほどの深さで、

「イスラム式の殺し方」とされている。

この五十嵐先生は私の家族がイランの首都、

テヘラン在住中、

当時中学生だった弟の家庭教師を務めてくださっていた。

研究のため、テヘランに単身赴任だった先生は、

毎回の授業の後はうちで食事をされ、

酔うと、ペンを握って気持ち良さそうに歌われた。

天才的で、とってもチャーミングな先生だった。

ラシュディ氏の翻訳に関わったから

殺されたのか?謎は解けない。

今回、ラシュディ氏が襲われたことで、

ムスリムの人たちの執念を感じてしまった。

イスラム教徒の多い国に計9年も住んだが、

まだイスラムがわからない。

 

https://www.asahi.com/articles/ASQ8F0BTPQ8DUHBI03Y.html