30年近く、テレビの仕事をして来ました。

私は記者出身ですが、

30代後半から40代にかけては

ほとんどニュース番組を担当していたので、

どれをトップニュースにするかとか、

どこに話題を入れて

一時間なり30分のニュース番組を

見やすく飽きないように構成するか、とか

いわゆるスタジオニュースの

仕事ばかりを続けて来ました。

 

思い出すと、「まずラジオ原稿をかけ」と

新人の頃はよく言われたものです。

テレビ用の原稿とラジオ用の原稿は違います。

テレビなら見ればわかることも

ラジオでは説明しないとわからないからです。

 

例えば菅総理が何かを話したとして、

テレビなら見ただけで菅さんとわかりますし、

スーパーで「菅義偉首相」と出せば

もっとわかりやすくなります。

が、ラジオでは「菅総理は〇〇と語りました」と

説明をつけなければなりませんね。

もしも泣きながら語ったなら、

「菅総理は泣きながら語りました」と

かかなければ、リスナーには伝わりません。

 

原稿としてはラジオ原稿が基本です。

ラジオ原稿を使って

テレビ用原稿を作るのです。

 

ところが記者生活の後半に

1時間とか30分の「ニュース番組」を

担当するようになると、

私は自分の番組のためだけに原稿を書けば良いわけで、

NHK のどの番組でも使えるように

「共用」あるいはNHKのタームでは

「汎用化」するための原稿は

私はほとんど書かなくなっていました。

 

ところがつい先日、

同僚が人事異動で北海道に転勤。

私は20分のラジオ番組を

急遽引き継ぐことになりました。

 

ゲストを呼ぼうにも間に合わない・・・

おまけに五輪が始まるか始まらないか

微妙な時に収録して、放送自体は25日だったので

自分でゲスト解説者役を担うことにしました。

 

そして東京2020のエコなポリシーをテーマに

20分間アナウンサーを相手に喋る

解説することにしました。

 

さぁ大変。

 

冷静に考えると、長年NHK にいながら、

ラジオで20分も喋ったことがないことに気付きました。

が、時すでに遅し。

五輪関係の過去の原稿や

東京都、スポンサー企業のHPなど

あちこちを読み漁り、

いろんな話題をつないで20分の原稿に構成しました。

 

実際に収録したものがここでお聞きいただけます。

 

 

やってみて、反省点が多々あります。

まず、滑舌が悪い。

2人のアナウンサーがMCで、

わたしは五輪の施設やポリシーに関する

解説を担当しているわけなので、

アナウンサーっぽい喋りをしないで、

わざとカジュアルというか、

リポーター風に喋りました。

でもちょっと早口だし、乱暴だったかなぁ。

あがちゃったんですよ、こともあろうか。

 

自分で全体の台本を書いていたので、

収録しながらタイムキープ、

時間の経過をメモって、

20分に足りるか、多すぎないか、

常にバランスを考えながら

収録しなければなりません。

なんだかよくいえば自作自演、

本音で言うと、一人で仕事を抱え込みすぎ、

みたいな感じになってしまって。

あまりセリフの練習もできないうちに

本番を迎えてしまいました・・・

 

テレビと違って、

間もよくわかりません。

テレビなら黙っても映像があるので、

「間」が保てるのです。が、

ラジオは無音になると

放送事故っぽくなる。

聞いている人がドキッとしてしまうのです。

 

ラジオに慣れていない私の収録は

この「間」が空くのが怖くて、

常に前のめりというか、先走ってしまいました〜〜

 

今、リモートで収録して

3人の出演者が別々の場所から声を出すので、

相手の顔が見えません。

だからMC のお二人が

わたしにいつ質問するのか、

こちらでは気配が読めないのです。

 

そしてあとで聞いて

MCのアナウンサーの読みに感動しました。

収録の時は

なんだか変に劇場チックというか、大げさで、

ちょっぴりくさいなぁ、と思ったのですが、

いざ本番で音楽をバックに流してみると、

これがぴったりで。

 

なるほど〜〜と思いました。

私の語りはうるさすぎます。

お聞きいただければ、その差がわかると思います。

 

あぁ・・・

 

やっぱりラジオは難しい。

テレビとは違う。

60すぎて、やっとわかりました。

次回出ることがあるのかないのかわかりませんが、

次はもっと聴きやすい

「語り」を目指したいと思います。

 

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