85歳の母が少しずつだが、ボケ始めた。

 

「認知症」や「痴呆症」という病名はつかないものの

明らかに少し前の母とは違う一面が見えてきたのだ。

 

あれ?と思ったのは一年くらい前だろうか?

父が他界してから13年、

ずっと一人暮らしで頑張ってきた母の家に行くと

青汁、

マムシエキスの錠剤(精力剤)、

生姜シロップ、

季節の濃厚果物ジュース、

お豆たっぷりレトルトスープ、

血糖値を抑えるコーヒー、

ビタミンC&E錠剤、

下戸のはずが1.8リットル入りの赤ワイン。

高級化粧品一式が3セット・・・

 

覚えているものだけでもこのくらい、

ありとあらゆる健康増進のための

食品やサプリメントが箱買いされている・・・・

健康食品はまぁ仕方がないとしても

85歳の母はなぜマムシまで買ったのか?

化粧品はもうほとんどいらないよね?

 

ラインを見たり、メールを打つのも

操作がわからなくなっている母なのに

なぜか電話をかけて注文する「お取り寄せ」は

若い頃からやってきた”昔取った杵柄”?

どうも大得意らしく、

クレジットカードをいつの間にか登録して

ご丁寧にも3ヶ月ごとの

定期購買を契約してしまっている。

で、自分では頼んだことも忘れて、

「またいっぱいジュースが来ちゃったあ」とか

呑気なことを言っている。

 

私は実家に戻るたびに周囲を物色し、

「お取り寄せ」を見つけると

業者に即電話、解約することに追われている。

そして

「母はボケてしまって

買ったことも、お支払いも忘れるので、

もしも本人が注文の電話をしても、

受け付けないでください、と

全ての業者にお願いしている。(泣)

もう6〜7件、断った。

 

おまけに冷蔵庫を買い換えたばかりなのに

開けると生ゴミのような腐敗臭がするのだ。

冷蔵庫の中身を洗いざらい出して、びっくり。

たくさんの冷凍食品を

解凍したまま忘れている。

と言うか

生協から届いた食材のうち

どれが冷蔵で、どれが冷凍か?

全く判別できなくなっているのだ。

そしてもちろん、

解凍したものは早めに食べる、なんてことは

すっかり失念してしまっている。

 

私は実家に帰るたびに

いつ解凍したのだか不明の、

冷蔵庫の中に溜まったままの食材を

一気に処分、

つまり「食べる」ことを繰り返している。

 

それでも無くならなくて、

車のトランクにある保冷ボックスに

すでにふにゃふにゃでくとっとなっている

”元冷凍食品”をパンパンに詰め込んで、

千葉の自宅に帰ってくるのだ。

 

きわめつけは母の

「ヒロユキが私の通帳から

100万円を勝手におろして持って行った。

100万円減っている。

そんな子じゃないと思っていたのに」

と言う涙の訴えだった。

 

「本当に無断で?

何かの間違いだと思うけれど」と

なだめて、弟に電話。

 

弟とは言っても、

すでに59歳のおっさんである。嫁もいる。

 

「あなたが勝手に100万おろしたって

ママが嘆き悲しんでいるわよ」と伝えると

弟は案の定、

「コロナで仕事が減ったから

この100万で食いつなげって。

ちゃんと通帳で50万ずつ二回に分けて

僕に送金したことが

名前入りで印刷されているじゃない。

使えって言ったのは向こうだよ。

盗るつもりならもっと出すよ(笑)」

と言うではありませんか・・・

 

ボケ始めると、

周囲が自分のお金を取ったと言う

妄想に襲われると聞いたことがあるけれど、

まさか自分の母親にも始まるとは・・・・

 

「ママが100万、

自分からあげたらしいわよ」と母に伝えると

「ええ〜〜?あげたかしら?」ですって。

 

こっちが「ええ〜〜⁈」だわよ。

 

先日、弟が介護認定の為に

母を病院に連れて行って

認知症のテストを受けさせたら

どうもそう言うテストの時には

頭が冴えて?しまうのか?

母はスラスラと答えてしまい

「要支援」にすら認定されなかった・・・

弟は「しまった・・」と悔しがっていた。

 

「私はまだ全然ボケていないのに、

そんなに馬鹿にしないでよ。」

 

あのね、それが典型的な

ボケている人のセリフなのよ。

 

85歳の割には元気一杯で

5〜10歳くらい若く見えてしまう母・・・

コロナのワクチンも

「今度は一人で行ける」と母は言い張るけれど。

2回めも付き添うつもりだ。

 

予約日と場所、

まだ覚えているだろうか?

先が思いやられる。

 

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